著者
相澤 真一 濱本 真一
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.147-167, 2019

<p> 本論では,高等教育研究を参照してきた隣接分野の立場から,教育社会学研究としての高等教育研究について,今後の研究への問題提起と期待を提示する。本研究が提示する高等教育研究の隣接分野とは,主に,中等教育研究と社会階層・社会階級・社会移動研究(以下,略して,階層移動研究)である。<br> それらの隣接分野の視点から見た場合,高等教育研究にはいくつかの課題が指摘できるように思われる。第1は,「日本の」高等教育の選抜を理解するために,その本質的な部分に関する定義を見直す必要があるのではないかということである。第2は,日本の高等教育制度は,社会階層構造に対して,どのような制度的文脈を持っており,どのような機能を保持しているかを明らかにすることが求められているという点である。第3は,高等教育研究ならではの視点である「高等教育機関が行う研究」を社会学的対象として配置していくことが必要となるという点である。<br> 以上の3点を踏まえて,日本の高等教育が制度的,歴史的に,世界のどのような類型に近く,どのような事例と比較されうるかを吟味することによって,より抽象度の高い階層移動研究に組み込んでいくことができると考えられる。また,日本の高等教育の特質を,隣接分野の文脈と共通性を持ちながら,より広い文脈を持った言葉で社会学的に明らかにしていくことにより,高等教育研究がより緊密に国際的な研究と結びついていくであろう</p>

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