著者
コーカー ケイトリン
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal of Humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.73-101, 2015-09-30

本稿の目的は,1960 年代年に土方巽が創始した暗黒舞踏(以下舞踏) における身体・肉体の 位置づけと,土方を中心とする共同生活の意義を,土方の弟子たちからの聞き取り調査に基づ いて考察することにある。それはまた,舞踏を追求する中で,その弟子たち,すなわち舞踏家 たちが日常実践を通じていかに自らの肉体を模索してきたのかを明らかにすることである。そして,その発言をもとに,肉体として生きることが,いかに人間の在り方を探究し,そして既存概念へ抵抗することになるのかを考察する。 舞踏は日本で始められた前衛的パフォーマンスであり,舞踏家は舞踏を踊る人の呼称である。 舞踏は革命と言われているほど,舞踊の世界に衝撃を与えた。そして,舞踏家は一生舞踏を踊る道を選ぶことで一般社会から外れていった。ここでは,肉体への重視が舞踏における芸術的かつ社会的姿勢であり,これは日々の実践によって実現していると主張する。本研究は,舞踏家7 人に聞き取り調査を行うとともに,それぞれの舞踏稽古の参与観察に基づいたものである。
著者
コーカー ケイトリン
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 = Journal of humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.107, pp.73-101, 2015

本稿の目的は,1960 年代年に土方巽が創始した暗黒舞踏(以下舞踏) における身体・肉体の 位置づけと,土方を中心とする共同生活の意義を,土方の弟子たちからの聞き取り調査に基づ いて考察することにある。それはまた,舞踏を追求する中で,その弟子たち,すなわち舞踏家 たちが日常実践を通じていかに自らの肉体を模索してきたのかを明らかにすることである。そして,その発言をもとに,肉体として生きることが,いかに人間の在り方を探究し,そして既存概念へ抵抗することになるのかを考察する。 舞踏は日本で始められた前衛的パフォーマンスであり,舞踏家は舞踏を踊る人の呼称である。 舞踏は革命と言われているほど,舞踊の世界に衝撃を与えた。そして,舞踏家は一生舞踏を踊る道を選ぶことで一般社会から外れていった。ここでは,肉体への重視が舞踏における芸術的かつ社会的姿勢であり,これは日々の実践によって実現していると主張する。本研究は,舞踏家7 人に聞き取り調査を行うとともに,それぞれの舞踏稽古の参与観察に基づいたものである。
著者
コーカー ケイトリン
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.617-634, 2022-03-31 (Released:2022-07-20)
参考文献数
53

本論では、ポールダンス実践の生成変化に焦点を当てて、その経験的かつ物質的な側面を明らかにする。その目標は、人類学的な研究における情動の捉え方および伝え方に貢献することにある。まず、情動論的転回とその問題点を紹介する。そして、これまでの情動論が心身二元論の片方あるいは両方を別々の領域としてきた傾向を問題として取り上げる。この問題に対し、本論は人類学における情動論の原点の1つといえるドゥルーズとガタリの『千のプラトー』の第10章をもとに、情動そのものの定義を問い直す。より具体的にいえば、情動の発現をドゥルーズとガタリのいう生成変化そのものと捉える。これを基盤に、ポールダンス実践において実践者の間で最も共有される現象であるアザを出発点とし、アザの思い出、そしてアザがほのめかすエンスキルメントの過程における想像力に注目することで、フィールドでの情動的な次元をより鮮明に浮かび上がらせる。このように情動の実践的かつ身体的な側面を明らかにすることで、人類学における情動概念および方法論の新たな展開を目指す。
著者
コーカー ケイトリン
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

本発表の目的は、ポール・ダンスの実践に焦点を当てて、エンスキルメントの中でフィーリングと想像力がいかに働くのかを明らかにすることにある。とくに、ポール・ダンスの危険性に着目して論を進める。そこで、運動に関わるフィーリングは自己受容性感覚(プロプリオセプション)だけではなく重力や抵抗の原理、遠心力などと共に、三次元的に動くための方向付けおよびエフォートとなり、想像力は繰り返される動きがスキルに変容する鍵となると論じる。
著者
コーカー ケイトリン
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

舞踏は、土方巽を創始者とする日本固有の前衛的なパフォーマンスである。本発表の目的は、土方の弟子であった舞踏家たちがいかに舞踏を伝承するかを明らかにし、身体と言葉の関係を問い直すことである。舞踏は特殊な指導方法を用いる。それは、舞踊の知識を持たない者から踊りを引き出すことと、非現実なイメージをもって身体的状態を変化させることである。