著者
濱野 千尋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.161, 2018 (Released:2018-05-22)

2016年の秋および2017年の夏の合計4か月間、ドイツにて行った動物性愛者たちへの調査から得られた事例を通して、人間と動物の恋愛とセックス、および動物性愛というセクシュアリティの文化的広がりについて考察する。異種間恋愛に見られる人間と動物の関係をダナ・ハラウェイの伴侶種概念を基盤に説明するとともに、動物性愛者のセックスが抑圧から脱する可能性を検討したい。
著者
濱野 千尋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C10, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表の目的は、ドイツにおける動物性愛者の任意団体「ZETA(Zoophiles Engagement fur Toleranz und Aufklarung/ Zoophiles Commitment for Tolerance and Awareness/ 寛容と啓発を促す動物性愛者委員会)」に属するメンバー8名へのインタビュー・データをもとに、人間と動物の関係、特に獣姦(Bestiality)および動物性愛(Zoophilia, Zoosexuality)を考察することである。
著者
廣田 龍平
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本分科会では、日本の「妖怪」概念の再検討を出発点として、前近代的な民間伝承から最先端の科学技術までを事例として取り扱い、フィールドにおける「有形と無形のあいだ」のものと人々とが織りなす関係性にアプローチすることを試みる。これは調査者の世界とフィールドの世界の二分法を問い直す一つの試みである。
著者
廣田 龍平
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、日本の「妖怪」を人類学的に把握することを通じて、「無形と有形のあいだ」に現われるフィールドの諸対象を位置づける概念として提示するものである。事例として用いるのは、柳田國男が昭和初期に著した「妖怪名彙」に現われる妖怪、そしてネット怪談として知られる「くねくね」という妖怪の二つである。
著者
池田 光穂
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第49回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B12, 2015 (Released:2015-05-13)

この分科会は、発表者の各々が文化人類学、社会人類学、生態人類学、医療人類学、芸術人類学、宗教学等の学徒として、各々のフィールド経験からインスパイアーされた「犬との出会い」を、さまざまな文献を渉猟しつつ、知的に再構成した試論の集成として出発する。本分科会は、従来の「人間と動物」の関係論という研究分野が、もはや「動物一般」として取り扱えない状況に到来しつつあることを、多様な事例を通して指摘する。
著者
島田 将喜
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.117, 2013 (Released:2013-05-27)

動物行動への理解がすすむにつれて、私たちは動物に対して過剰な合理性を押し付け、動物は無駄な殺しをしないはずだと信じている。しかしヒトにもっとも近縁なチンパンジーにおいては、他の動物を殺す場合に、必ずしも明確な殺意や動機が存在しているとは解釈できない事例などが多数あることが分かった。こうした観察結果は、動物においても不合理な殺しはさまざまな形で遍在することを示唆している。
著者
兼城 糸絵
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.88, 2013 (Released:2013-05-27)

本発表では、東日本大震災における津波によって被災した地域社会が復興へと歩みをすすめる過程においてアニメ聖地巡礼者たちが果たしてきた役割について具体的事例とともに考察していく。地縁血縁的枠組みに基づくローカルな組織でも災害復興を目指すアドホックな組織でもない、趣味に基づいて形成された組織が災害復興において重要な役割のひとつを担っていることを震災前後のコンテクストに基づいて明らかにする。
著者
中生 勝美
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第57回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B01, 2023 (Released:2023-06-19)

報告者は、1990年代から日本の人類学者の研究と調査の社会的背景を理解するため、関係者へのインタビュー、歴史アーカイブの渉猟、調査地への再訪などを通じて人類学史を研究してきた。今回の発表は内蒙古の特務機関の実態を紹介したうえで、ドイツのモンゴル学者ハイシッヒが、日本の特務機関と協力した罪で戦犯として裁かれた経歴があったこと、そして彼が岡正雄とウィーン大学時代に最も近い関係であったことを報告する。
著者
木村 大治
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.141, 2013 (Released:2013-05-27)

この発表では,SFの一ジャンルである「ファースト・コンタクト」,すなわち,異星人との最初の接触の「事例」を梃子として,出会いとコミュニケーションにおける「理解」の成立について論じる。
著者
椎野 若菜
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第50回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.A01, 2016 (Released:2016-04-22)

本分科会の目的は、女性調査者の多くが自らのキャリア形成と同時に直面する結婚、妊娠、出産、介護、また未婚、離婚、死別といったライフイベントによる調査者自身の属性の変化と、それに伴う調査地との関係やポジショナリティの変化、そして調査を続けるための困難や工夫について焦点をあて、そうした経験をも民族誌的データとしていく試みの提案と、またそうした困難や情報を共有するネットワーキングの提案を行うことである。
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、「腐女子」と呼ばれる男性同性愛を主題とするフィクションや想像などを嗜好する少女/女性たちの二次創作活動とメディア利用を対象として、メディアを含むモノとの連関の中で形成される腐女子のつながりとはどのようなものであるのかを明らかにするものである。調査からは、二次創作を行う腐女子のつながりが、個々人の「愛」という不可視のモノを中心に形成され、メディアを通して評価されていることが明らかとなった。

9 0 0 0 OA 東北の関西人

著者
川口 幸大
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.93, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表では、日本の内なるエスニシティへの他者化、および、それを内面化した自己他者化のプロセスに作用する文化認識と実態の所在について、「東北地方で暮らす関西人」である発表者のオートエスノグラフィーをもとに考察する。それをもとに、文化人類学における文化の捉え方を今ひとたび考え直してみたい。
著者
中生 勝美
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

第二次世界大戦中に、アメリカの人類学者の90%が軍事・政治組織にかかわっていた。人類学者を、軍事的な活動の必要に応じて差配していたのはクラックホーンであった。アメリカの対日戦を理解するためには、日本語資料を駆使する必要がある。今回、4つの事例から日本との戦争を通じて、アメリカの人類学がどのように変容し、国家機関や軍事部門に如何にかかわっていったのかという観点から、アメリカの人類学史を描いてみる。
著者
足立 賢二
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第57回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.A12, 2023 (Released:2023-06-19)

コロナ後における「日本の伝統」の継承のあり方を議論する上での基礎資料を抽出することを目的として、特に「古武道」を対象とし、近現代において家元制を採用していた古武道流派にかかる①門人帳の分析と②関係者への聞き取り調査の結果の分析により、その流派の「失伝」の過程を検討した。検討結果からは、「古武道」という伝統にあっては、入門者の低年齢化が「失伝」を加速させた可能性があることが判明した。
著者
梅津 綾子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第55回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C02, 2021 (Released:2021-10-01)

イスラームの古典的解釈では同性婚が認められておらず、同性愛ムスリムが差別や迫害を受け国際問題となっている。日本にも性的少数者(LGBT)のムスリムはいるが、その実態はあまり解明されていない。本発表では日本人LGBT信者への聞き取りから、古典的解釈を選択的に重視することにより、同性婚と信仰を両立させうることを示す。そしてジェンダー公正と信仰が両立しうる日本版イスラーム文化の可能性を示唆する。
著者
渕上 恭子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.D11, 2020 (Released:2020-09-12)

2009年、ソウル市冠岳区の主サラン共同体教会が、未婚の父母等、産みの親が育てられない赤子を置いてゆく「ベビーボックス」を設置し、以後10年間で1,600人の棄児を保護してきた。「ベビーボックス」は、生存が危ぶまれる棄児達を救っている一方で、嬰児遺棄を助長しているとの批判を免れないでいる。本報告で、「ベビーボックス」への嬰児遺棄が増え続ける背景と、そこにやって来る未婚の父母に対する子育て支援のあり方を考える。
著者
河西 瑛里子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.166-166, 2008

キリスト教到来以前のヨーロッパにおける信仰の復興運動、ネオペイガニズムを通して、伝統の創出について考える。本運動は、外部からは創られた伝統とされるが、当事者は過去との連続性を主張し、「本物」の信仰の復興をめざしている。その一方で、北米やオーストラリアの先住民族の文化を積極的に取り入れている。ここでは、とりわけドルイドの実践を取り上げ、彼らがなぜ「伝統」を復興させようとしているのか、考えてみたい。
著者
片岡 樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.23, 2018 (Released:2018-05-22)

近代以降の神仏分離、神社合祀、政教分離といった一連の政策が、我が国の宗教的景観を一変させてきたという認識は大筋では正しいとしても、一部に過大評価を含んでいるのではないか。本報告では、愛媛県今治市菊間町の神社・仏堂の現状に関する悉皆調査の結果から、そうした国家主導の宗教再編をかいくぐるうえで未公認の小社や小堂が果たしてきた役割について再検討する。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第48回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.111, 2014 (Released:2014-05-11)

本発表の目的は、緊縛(rope art)の海外への普及を取り上げることで、グローバリゼーションの文化人類学や性の文化人類学、文化の真正性についての議論に寄与することにある。現在、緊縛はkinbakuやshibariとして世界各地で受容されている。日本の伝統的な性の実践とみなされてきた緊縛のグローバル化の経過や「kinbakuは本当に日本文化なのか」といった論争を取り上げる。
著者
深川 宏樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第45回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.92, 2011 (Released:2011-05-20)

本発表では、ニューギニア高地エンガ州における呪いの事例から、軋轢の解消と身体の社会的構築の関係について論じる。エンガ州では、ある人が軋轢を理由に他人に悪意を抱いて死ぬと、それが呪いとなって相手を重病におとしいれる。人は重い病にかかると、故人との軋轢を想起し、故人の息子との仲裁で軋轢の解消を試みる。この事例から本発表では、個人の身体の変調や死が、軋轢の解消を導く社会的過程の要となっていることを論じる。