著者
肥田 宗政 伊藤 健次郎 三井 利幸
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.185-191, 2006 (Released:2007-01-19)
参考文献数
3

A mixed solution of 28% of ammonia and pyridine (9 : 1 (v/v)) was used to extract dye ink from counterfeit paper money printed by an ink-jet printer. The counterfeit paper money was fixed on a vacuum filtration device instead of a membrane filter. The extracted solution was collected in a test tube and was evaporated to dryness under reduced pressure in a 40°C water bath. The extract was dissolved by 10 μl of the extraction solution and spotted on a silica gel plate. The silica gel plate was developed by iso-propanol : 28% ammonia : pyridine (2 : 9 : 1 v/v/v). By comparison with TLC patterns, we could clearly distinguish among the various printer companies. Furthermore the TLC pattern was discriminated between the machine types to some extent.
著者
肥田 宗政 三井 利幸 藤村 義和
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.6, pp.972-976, 1989-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3
被引用文献数
2

合成樹脂の構造推定を行なう一手段として, パーソナルコンピューターを使用した多変量解析法の適用を試みた。まず, 14個の構造のわかった既知の合成樹脂と, 3個の構造のわからない未知の合成樹脂について, それぞれに熱分解ガスクロマトグラフィーを行なった。つぎに, 個々のパイログラムをピーク高と保持時間をもとに数値化し, 多変量解析のためのデータとした。多変量解析において, クラスタ憎分析では, ウォード法, 主成分分析では, 合成変量の分散を最大にする方法, 因子分析では, 規準パリマックス法を使用して, 距離, 主成分得点, 因子得点を計算した。得られた数値を総合的に判断して, 未知の合成樹脂の構造推定を行なった。その結果, 未知試料は, 高圧ポリエチレンあるいは, ポリ-1, 2-ブタジエン, 未知試料2は, 既知試料中に特に類似したものはなく, 未知試料3は, 天然ゴムとの類似盤が高いことがわかった。
著者
佐藤 元泰 三井 利幸
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.4, pp.349-354, 1993-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

ニトラゼパムおよびジアゼパムをガスクβマトグラフ質量分析計(GC1MS)で測定後,得られた複数のフラグメントイオンのイオン強度を用いて,多変量解析法によりそれぞれの定量を行った。定量計算に使用するニトラゼパム,ジアゼパムおよび内部標準物質として用いたドトリア=ンタン(n-Cs2H66)の複数のフラグメントイオンは,数墨化理論第IV類を用いて抽出した。次に,抽出された複数のフラグメントイオンのイオン強度を基にして,クラスター分析,偏差値からのクラスター分析および主成分分析を行い,未知試料がどの既知試料に最も類似しているかを明らかにした。さらに,主成分分析から得られる主成分得点と固有殖を用いて,正確に未知試料の濃度を決定した。計算されたニトラゼパムおよびジアゼパムの濃度は,理論値とほぼ一致し,精度の高い定量が可能となった。
著者
三井 利幸 榊原 浩之
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.777-782, 1999-08
被引用文献数
1 1

非破壊で印影中の朱肉を顕微分光分析計で測定し,日本で製造されている13種類の市販の事務用朱肉の異同識別を行った.方法は次のとおりである.試料を50倍に拡大後,顕微分光分析計を用いて380から760nmまでの間を5nm間隔で各波長に対する吸光度を測定した.得られた76の吸光度値を380nmの吸光度値で除した.1試料から得られた76の数値を用いて多変量解析法の一種であるクラスター分析,主成分分析,KNN,SIMCAで検討した.その結果,主成分分析以外は,いずれの3方法を用いても13種類の事務用朱肉間の異同識別が可能であった.更に,印影は押印されてからかなり長期間放置されている場合があることから,放置時間についても検討したところ,1日10時間蛍光灯を照射する方法で,24か月間放置しても異同識別には全く影響が認められなかった.
著者
三井 利幸 肥田 宗政 藤村 義和
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.427-431, 1990-08-05
被引用文献数
5 4

熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)による天然あるいは合成繊維の同定を, PyGCから得られたパイログラムのピーク高さ及びピーク面積を自然数値化後, クラスター分析, 各カテゴリーの重みを同じにした偏差値からのクラスター分析, 主成分分析, 因子分析などの多変量解析法により行った.その結果, 未知試料が極めて簡単に同定できることが明らかとなった.更に, 未知試料のパイログラムが既知試料と一致しない場合でも, 多変量解析法で計算した結果未知試料の構成成分の推定が可能であった.
著者
三井 利幸 藤村 義和
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.183-187, 1975-08-31
被引用文献数
3

The concentration of hydrochloric acid and potassium iodide in Dragendorff's reagent was examined in order to obtain high sensitivity in the detection of alkaloids. As the samples, caffeine, morphine, procaine, cocaine, methamphetamine, ephedrine, chloroephedrine, methylephedrine, codeine, and dihydrocodeine were used. The optimum concentrations of hydrochloric acid and potassium iodide were determined by measuring the unreacted amount of bismuth in the reaction mixture of an alkaloid and the Dragendorff's reagent containing a definite amount of these two components when using caffeine, cocaine, procaine, codeine, and dihydrocodeine. For other alkaloids, however, the optimum concentration of the two components could not be determined.
著者
三井 利幸
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.811-817, 2008 (Released:2008-11-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1

主成分分析法による混合物の非分離定量法は,既に主成分回帰分析(PCR)に応用されているが,PCRでは3種類以上の化合物が混合している場合には,混合比の明らかな多数の既知試料で検量線を作成しても精度の良い定量結果を得ることは困難である.それに対し,混合している可能性のある各化合物の純品と未知試料で主成分分析を行い,得られた最終主成分の既知試料の主成分得点を用いて定量する本方法は,複数の化合物が混合している未知試料中の各化合物の混合比を精度良く定量できる方法である.本方法を質量分析の測定値に応用したところ,有機溶媒中の各化合物の混合比を極めて精度良く定量できることが明らかとなった.更に,本方法を回収された有機溶媒の産業廃棄物に応用したところ,迅速に精度良く定量できた.