著者
坂部 知平 坂部 貴和子 田之倉 優 江橋 節郎 三井 幸雄 山根 隆 大沢 文夫 京極 好正 芦田 玉一
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本重点領域ではこれまで4年間放射光を利用して蛋白質結晶構造のダイナミックスの研究を、蛋白質が関与する反応及び調節などの機構を3次元構造を基礎にして理解するために必要な研究を勢力的に進めてきた。本年度の目的はこれまでの研究成果報告を行い評価することと、これまでの成果をまとめて報告書を出版することであった。この目的を達成するため、平成5年度〜平成8年度研究生果報告会を東京大学山上会館て7月16日から18日まで開催した。会議では実行班の計画研究代表者、分担者、公募研究代表者全員が成果を報告を行い、総括班の評価委員が座長を受け持った。出席者は142名と盛況で盛んな議論が展開された。そしてこの時点で研究グループが解散するのは大変残念であるとの声が多くの参加者から出た。これまでのすべての報告をもとに作られた小冊子が10月16日に文部省で行われた最終ヒアリングで提出された。ヒアリングの席でこのような研究をさらに広範な分野に広げることは出来ないかとの質問が出された。また、会議に先だってアブストラクト等を収録したNewsLetter5-1(108頁)を発行した。各研究者の会議報告うは4年間の研究成果報告書(630頁)に収録された。総括班会議は2回行った。初回は成果報告会中の7月17日、2回目は平成10年1月24日であった。会議の中心議題はこれまで盛り上げてきた学際的な研究態勢を今後どのようにして維持し、研究の活性を維持し、さらに広い領域に発展させるかということであった。最終的には今後発展が期待される時間分割ラウエ法利用研究において最高の成果を上げられた京大化研の小田順一教授が世話役になり広範な領域の研究者が参加した『動的構造研究会』を母体にして特定Aの申請がなされた。以前から懸案になっていた英文のモノグラフ発行については次期特定が認められた場合その成果も交えて出版することが認められた。
著者
三井 幸雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.585-601, 1980-06-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
72

There are two different techniques for the X-ray structure analyses of materials ; that for small molecules and that for macromolecules. The latter technique, is called"protein crystallography."The characteristics of protein crystallography as opposed to ordinary crystallography for small molecules are described. Some of the achievements of protein crystallography and their impact on other scientific fields are discussed, and perspectives for the possible contribution of protein crystallography to molecular pharmacology are given.
著者
廣海 啓太郎 赤坂 一之 三井 幸雄 太田 隆久 三浦 謹一郎 石井 信一
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

本報告中では、SSIは「放線菌のズブチリシンインヒビタ-」を、SMPIは「放線菌の金属プロテア-ゼインヒビタ-」を表す。SSIが放線菌金属プロテア-ゼSGMPA及びSGMPBを強く阻害することを見出し、新規蛍光性基質を用いて阻害物質定数を決定した(石井)。遺伝子工学的手法を用いてSSIの種々のアミノ酸残基を置換し、これら変異体の特性ならびにSSI遺伝子発現系の特性を明らかにした(三浦)。SSIに対するモノクロ-ナル抗体の作成を試み、数種のIgG1及びIgM産生クロ-ンを確立し、NMRによるエピト-プ解析を行った(荒田)。シンクロトロン放射光を用いてSSI及び変異型SSIとズブチリシンとの複合体の結晶のX線回折デ-タの収集に成功し、これに基づく構造精密化を行った(三井)。耐熱性プロテア-ゼ、アクアライシンI、の遺伝子の全塩基配列を決定し、大腸菌中で発現させ、本酵素の構造と機能を解析した。(太田)。クロ-ン化した遺伝子を用いるSMPIの生産において、菌体外分泌生産量を増大する条件を検討した(高橋)。蛋白質についての安定同位体利用NMR法を確立し、部位特異的アミノ酸置換がSSIの高次構造に及ぼす効果を解析した(甲斐荘)。SSI変異体につき重水素NMR法により分子構造の「ゆらぎ」を解析した(赤坂)。SH/SS化合物の電気化学的微量分析法を確立した(千田)。SSI変異体とズブチリン及びSMPPIとサ-モリシンの相互作用を平衡論的・速度論的に解析した(廣海・外村)。海洋細菌から新規ペプチド性セリンプロテア-ゼインヒビタ-、マリノスタチンD、を単離し一次構造を決定した(原)。ペプスタチン非感受性の酸性プロテア-ゼの新規インヒビタ-、チロスタチン、を単離し一次構造を決定した(小田)。好熱菌から単離した新規耐熱性酸性プロテア-ゼの特徴ある性質と極めて高い基質特異性を明らかにした(村尾)。