著者
宮原 小百合 松本 浩実 三谷 茂
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11931, (Released:2021-03-16)
参考文献数
17

【目的】末期変形性股関節症女性患者の尿失禁および骨盤臓器脱の有症率とそれらの認知度,関心度および指導への期待度を明らかにすること。【方法】人工股関節全置換術術前の末期変形性股関節症女性患者38 名(平均年齢64.9 歳)を対象とした。国際尿失禁会議質問票と骨盤臓器脱困窮度質問票にて有病率を調査した。さらに尿失禁および骨盤臓器脱についての認知度,関心度および指導への期待度を自記式質問紙にて調査した。【結果】有症率は尿失禁が65.8%,骨盤臓器脱が63.2%であった。47.4%の患者がどちらの症状も認めた。尿失禁および骨盤臓器脱について,「知っている」と回答したのはそれぞれ57.9%,28.9%であり,7 割以上が関心を示し,半数程度が指導を期待していた。【結論】末期変形性股関節症女性患者の尿失禁および骨盤臓器脱の有症率は高かった。患者の多くは尿失禁と骨盤臓器脱に関心をもち,指導を期待していることがわかった。
著者
三谷 茂 中嶋 唯夫 宗田 太郎 柳下 晃 畑山 道子 高柳 和雄 足立 康弘 金子 豊 関本 英也 檀上 忠行
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 1964-06

1. 日本赤十字社産院における昭和11年より昭和36年6月に至る満25年間における帝王切開実施1238例について, これを戦前, 戦時, 戦後及び最近期に分類して, 母, 児の予後に対する検討を行い, その変遷を追求した. 2. 母体死亡率は昭和11~16年9.52%から最近期1.47%と低下した. 3. 児の周産期死亡率も戦前30.95%から6.81%と低下したが, 尚高率である. 4. 術式の上から母, 児の予後を見ると, 腟式は戦後行われていないが, この際には児の死亡率が高いのみならず母体死亡率も高く, Porro氏手術でも同様のことがいえる. 5. 帝王切開時の出血量は子宮収縮剤の使用の有無に拘らず, 25年間著しい変化を見ず, 601CC以上の症例が20%にも見られ, その対策を考慮する必要がある. 6. 母体の術後合併症中37.5℃以上の発熱を40%にも見る. 又最近耐性菌による感染が認められた. 7. 術創不全は非破水群では少い, 但し破水後経過時間との間に有意の差を見ない. 8. 適応の上から予後を見ると, 母体死亡率は減少しても尚今日晩期妊娠中毒症, 心, 肺疾患, 出血に留意する必要がある. 9. 常位胎盤早期剥離群では今日尚50%の児死亡を認め, 子宮破裂, 前置胎盤群での予後も悪い. 又児側適応による帝王切開術が最近屡々行なわれるが, 児の死亡率は高率で, 17.14%であり, この点に十分留意すべきである. 10. 非破水群の児の予後は最近0.99%の低死亡率で極めて良好であるが, 破水群では低下したといえ尚高率である. しかし破水後の経過時間の長短との関連はない. 11. 体重別に児の予後をみたが2000g以下の朱熟児では依然として70%余と予後の改善を見ないし, 未熟児では予後が依然として不良であるが, 2501~3500gの生下時体重群の死亡率は好転している.