著者
児玉 利朗 三辺 正人 古郷 辰二 田村 利之 山下 修 大場 正道 堀 俊雄 渡辺 是久 宮田 暉夫
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1121-1131, 1987-12-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
25

本研究は, 歯周外科手術後の創傷治癒を促進することを意図してコラーゲン膜を作製した。そして, その性状が, 創傷治癒過程におよぼす影響を知る目的で基礎的検討を行った。2種類のコラーゲン (アテロコラーゲン, テンドンコラーゲン) について, 架橋処理方法 (紫外線, ヘキサメチレンジイソシアネート) および, 架橋の程度を変化させた材料を試作した。そして, ラット上顎臼歯部口蓋歯肉を剥離根面を掻爬後, コラーゲンを移植し, 経時的な治癒反応を病理組織学的に検索した。その結果, コラーゲンを移植することにより, 接合上皮の根尖方向への移動が抑制され, 速やかな線維性結合組織が生ずることが明らかとなった。特に, 架橋処理されたアテロコラーゲンは, 組織親和性に優れ, 接合上皮の根尖方向への移動を最も著明に抑制した。