著者
竹原 広実 梁瀬 度子 西川 向一 村上 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1005-1013, 2001

生活の中での入浴の位置づけを把握し, 今後の浴室空間のあり方を検討することを目的として入浴行動の実態について質問紙による調査を行った.得られた結果は以下の通りである.<BR>(1) 冬よりも夏が, また若年層ほど入浴頻度は高く, 若年層はシャワーをよく使い, 高年層は浴槽に浸かることが多いことが明らかとなった.<BR>(2) 身体を清潔にする以外の入浴の意味とは, 疲れをとる, 心身のリフレッシュのためと考えているものが多くを占め, 他に高年層ほど健康のため, 中年層は家族とのコミュニケーションをはかるため, 若年層は1人の時間を楽しみくつろぐ, 身だしなみを整えるなど精神的なリラックス効果や美容のためなど年齢によって入浴の意味が異なることが明らかとなった.<BR>(3) 入浴法や入浴関連商品について, 柚子湯やクール系入浴剤などは知名度が高くよく使用されているが, 比較的新しい商品である芳香浴やエステゼリーなどは知名度は高いがまだ多くは使用されていない.しかしそれらに対する関心は高いことから今後の利用が見込まれる.また男性より女性が, そして特に若年層の女性が強く関心をもっていることが明らかとなった.<BR>(4) 入浴行動について対象者の類型化を行ったところ, 日々規則正しく入浴を行っているかどうかと入浴に対して積極的な姿勢であるかどうかの2軸が抽出され, 不規則・消極型, 不規則・積極型, 規則・消極型, 規則・積極型の4つに分類された.
著者
村上 恵子 西川 向一
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2000
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

The purposes of this study were to select the crude drugs of the medicated baths calendar for each of the twelve months of the year, and to clarify the physiological responses of this medicated baths. To ultimately establish a set of crude drugs for use in medicated baths, the history and make-up of medicated baths were researched and the characteristics of seasonal events were investigated. Next, characteristics of crude drugs particular to each Japanese season that would affect baths and formulation our bath drugs using readily accessible materials were sought. The result was an assortment of crude drugs specifically designed for effectiveness throughout the year. In experiments, skin temperatures, blood flow, and amounts of perspiration were monitored. The findings revealed that the medicated baths were highly effective in keeping the skin temperature high in that they caused a little decrease in mean skin temperature over a period of time and a longer period of perspiration in comparison to normal bath. These medicated baths were also found to increase the amound of blood flow and the secretion of nor adrenaline, making the drugs a notably more effective promoter of blood circulation than normal bath. The results proved the medicated baths to be beneficial, healthy bathing methods.
著者
西村 佳子 村上 恵子
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学教職研究紀要 (ISSN:18839509)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-74, 2008-03

本稿の目的は、わが国の中学校・高等学校で行われている金融教育の現状と課題を明らかにした上で、大学生361名を対象として実施した記述式アンケート調査をもとに、学校における金融教育の進むべき方向について考察することである。アンケート調査では、ほとんどの学生が、高等学校卒業期までの金融知識の水準のままで社会に出ることに不安を感じていることが示される。特に、年金保険制度や健康保険制度の詳細な知識、多重債務をかかえないための知識、金融商品の特性やリスクとリターンの関係についての知識が不足しており、ローンや預貯金金利の単利や複利の計算についても理解する必要があると考えていることが明らかになる。リスクと冷静に向き合う道具として、金融に関する基礎知識を効率的に習得できる時期は、ほとんどの国民が就学している高等学校までの時期である。現段階では共通の到達目標を持っているとは言い難い学校関係者と金融業界が協力し、学校教育にふさわしい教育内容についての議論を深め、さらには優れた教材の開発を行うことができれば、時代の要請に応じた国民の金融知識の向上や意志決定能力の向上が期待できる。