著者
冨山 太佳夫 川津 雅江 大石 和欣 梅垣 千尋 吉野 由利 山口 みどり 高橋 和久 川島 昭夫
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

18世紀後半から19世紀前半にかけてのイギリスにおいて、社会の多様化や消費文化の進展、国外への帝国主義的覇権の伸長が起こった結果、イギリス国内にいる女性にとっても公共圏が複層的、複次元的に展開していった。「私/公」の境界線は、ジェンダーによってはもとより、社会階層によっても、また家族構成によっても、まったくそうなる形で形成され、その複層性・多元性の実態を文学および歴史資料の中から精査した。同じ女性であっても状況によって複数の境界線が存在し、意識されていたのであり、さらにはその境界線自体が明瞭なものではなく、曖昧なグレイ・ゾーンであったことである。Mary WollstonecraftやCharlotte Smithのような女性とHannah MoreやJane Austenそれぞれが、一定の範囲内であいまいな「公共圏」を想定し、そこに共存しつつも、消費、政治、宗教、情報、地域といった様々な領域において異なるpublic/privateの境界線を意識し、言説として公表してきた。全体として、家庭イデオロギーが19世紀初頭にかけて支配的になっていくのは明らかであるが、しかしその状況において女性たちは異なる「公/私」の境界線上を往還運動していたのである。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 山田 仁一郎 水越 康介 山口 みどり 入江 信一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究テーマである「制度的起業」とは、単に制度的環境を与件としてそれに組織が適応するとする議論を越えて、企業が既存の制度に埋め込まれながら新たな制度を創造する側面を持っていることに注目した概念枠組みである。本研究では、こうしたダイナミックな制度的実践の側面に注目しつつ、制度変革のマネジメントについて明らかにした。