著者
山田 和義 上原 敬義 内津 政直
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.108-111, 2013

きのこの人工栽培には大きく分けて原木栽培と菌床栽培があるが,特に菌床栽培では,年聞を通して多量に発生する使用済み培地の有効利用が課題となっている。きのこ栽培が盛んな長野県の場合,いずれもビン栽培(菌床栽培)されるエノキタケとエリンギでの使用済み培地の年開発生量は,その生産量(林野庁,2010)から合計約200Ggと推計される。エノキタケとエリンギの培地は,主要原料としてコーンコブミール(トウモロコシ穂軸破砕物)30~50%,米ぬか20~40%を含むため,良質な堆肥原料となり得る。これまでに,堆肥化した使用済み培地(以下,コーンコブ堆肥)中の窒素については,肥効率(ここでは,化学肥料の肥効に対する堆肥成分の肥料的効果の割合)を20%として施用すると,レタスやハクサイでは基肥窒素の50%程度を代替できた(山田ら,2009)。一方,コーンコブ堆肥には主に培地原料の米ぬか由来のリン酸が窒素の1.5倍程度含まれている。水稲に対して使用済みきのこ培地(主原料がコーンコブおよびオガクズの培地)の化学肥料代替利用を検討した結果ではリン酸肥効率は60~70%であった(長野県,2011)。こうしたことから,コーンコブ堆肥の利用は有機物施用による団粒形成促進等の土壌改良効果とともに,単価の高いリン酸肥料の代替資材としてコスト低減も期待できる。そこで,本県での野菜作におけるコーンコブ堆肥施用時のリン酸肥効率を設定するために,根菜類等を対象に検討した。
著者
藤永 真史 小林 久茂 小松 和彦 小木曽 秀紀 上原 敬義 小野 佳枝 冨田 恭範 小河原 孝司
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.52, pp.25-29, 2005-12-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
4

長野県のセルリー栽培において最も問題である病害は, 連作によって引き起こされる難防除土壌病害の萎黄病である。これまでは, 化学合成薬剤である土壌くん蒸剤によって恒常的に防除を実施してきたが, 現状, 生産農家からは環境に負荷をかけない防除法の開発が強く要望されている。そこで, セルリー萎黄病防除対策として, 家庭用小型ボイラーを利用した簡易型熱散水殺菌装置による熱水土壌消毒法の有効性を検証した。その結果, 本法はセルリー萎黄病に対し高い防除効果を示すとともに, セルリー萎黄病菌密度は収穫時まで低く維持され, さらに, アスター萎凋病菌, カーネーション萎凋病菌, トルコギキョウ立枯病菌に対しても, 十分な殺菌効果が認められた。これらの作物は施設花き生産の基幹品目であることから, 今後の普及適応拡大に有望と判断される。