著者
栁澤 節子 小林 千世 山口 大輔 上原 文恵 吉田 真菜 鈴木 風花 松永 保子
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.107-113, 2018-03

本研究の目的は、主観的健康感と生活形態、健康維持への意識、および地域社会活動との関連を検討することであった。2015 年7 月にM 市内の総合球戯場でゲートにいた成人と、2016 年9 月から10 月にM市内の商業施設の成人の来店者とS 大学医学部主催の健康講座に来た成人の参加者を調査対象者とした。調査内容は対象者の属性、主観的健康感、生活形態、直接スポーツ観戦の有無などであり、無記名式質問紙調査を実施した。分析は、主観的健康感について「主観的健康感高群」と「主観的健康感低群」に分けて、それらを従属変数とし、「地域活動に関する事柄」、「生活習慣に関する事柄」、「健康維持に関する意識」、「直接スポーツ観戦の有無」を独立変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果、「夢中になれるもの」(OR=3.41、95% CI=1.270─9.167)、「規則正しい生活」(OR=2.64、95% CI=1.251─5.585)、「直接スポーツ観戦」(OR=2.584、95% CI=1.158─5.766)が、主観的健康感を高める要因であった。これらのことから、人生において、夢中になれるものがあることや、規則正しい生活を送ること、直接スポーツを観戦することが、主観的健康感に大きな影響を与えていることが分かった。また、直接スポーツを観戦することや、直接スポーツをすること以外にも、スポーツに関わる、あるいは携わることが、健康に対する意識を高め、健康の保持増進に影響を与えることが推察された。したがって、スポーツができない高齢者や患者においても、スポーツを観戦することで、主観的健康感が高まり、人生における楽しみや生きがいにつながり、「近隣の人との交流」、「地域での活動に参加する」などの社会的活動やその役割、意識をも高め、主観的健康感も高まると考えられた。今後、健康寿命の延伸に向けた健康づくりのためには、今回明らかになった主観的健康感を高めるような要因が充実する介入や支援ができる体制を作り上げることが重要であると考えられた。
著者
谷口 真吾 上原 文 松本 一穂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>【研究目的】リュウキュウコクタン(<i>Diospyros ferrea</i>)の繁殖枝に環状剥皮と摘葉を施し、繁殖資源の配分を繁殖モジュール単位で検証した。【方法】供試木は樹高5.0m、胸高直径18cmの40年生雌株2個体である。開花期である2018年5月中旬に繁殖枝の無剥皮区と剥皮区に摘葉処理する(摘葉しない0%摘葉区、葉数の50%摘葉区、葉面積の50%摘葉区、100%摘葉区)の8処理区を設けた。幼果実のステージである同年6月下旬、繁殖枝を覆うチャンバーの中で安定同位体である13CO2を無剥皮区と剥皮区の0%摘葉区にそれぞれ同時に発生させ、トレーサー実験法により光合成産物の転流を追跡した。さらにトレーサー実験後から果実の成熟段階(7月上旬、7月下旬、8月下旬)に応じて繁殖枝をサンプリングし、処理区ごとに葉、枝、果実の可溶性全糖を定量した。【結果と考察】果実の高さは無剥皮区、剥皮区とも0%摘葉区が最も高く、100%摘葉区は最も小さかった。13Cは無剥皮区の100%摘葉区における果実と枝に高濃度に検出された。この結果、無剥皮区では0%摘葉区から100%摘葉区への光合成産物の転流が認められた。この転流現象とともに、定量した可溶性糖の動態と果実サイズの変動を考察する。</p>