著者
中田 知沙 猪俣 雄太 上村 巧 山口 浩和
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.38.29, 2023-01-31 (Released:2023-03-19)
参考文献数
9

本研究はチェーンソーの水平把持に着目し,その精度の現状を把握することを目的とした。また把持高さと地面傾斜による影響を調査した。ガイドバーの長手方向の傾きのズレは,被験者の4割が2°以上で,かかり木や隣接木接触等による労働災害につながる可能性のある水平把持精度であることが分かった。被験者のうち初心者は刃先が下がりやすく,経験者は刃先が上がりやすい傾向が見られた。また,把持高さによる差は見られなかった。グループ間の技能の顕著な差はないと判断できたことから同じ母集団として地面傾斜やチェーンソーの把持姿勢,スロットル操作の指の違いによる影響を調べた。傾斜0°と10°ではガイドバーの傾きが有意に高く,チェーンソーの把持姿勢とスロットル操作の指の違いによる有意差は見られなかった。まずは安全な平坦地で訓練を行うことで,傾斜地でも水平を維持できるようになることが期待された。
著者
中澤 昌彦 吉田 智佳史 佐々木 達也 陣川 雅樹 田中 良明 鈴木 秀典 上村 巧 伊藤 崇之 山﨑 敏彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

【目的】本研究では,急峻で複雑な地形と大径材搬出への適用が期待できる欧州製タワーヤーダを用いた作業システムを開発することを目的に,間伐作業の功程調査を行った。前報で架線下の上荷集材作業について報告したので,本報では上荷横取り集材作業を中心に報告する。【方法】搬器にShelpa U-3toを搭載したMM社製WANDERFALKE U-AM-2toを用いて,上荷横取り集材作業を実施し,時間分析を行なった。【結果】魚骨状に4列伐採し,27サイクル,28本,計17.87m3を集材した。平均荷掛量は0.66m3,平均集材距離は156.6m(135.7~194.6m),平均横取り距離は25.7m(5.1~48.1m)で,打ち合わせや遅延時間を除く横取り集材作業時間の合計は10,371秒となった。既存タワーヤーダであるツルムファルケ(平均荷掛量0.37m3)と比較すると,横取り作業時間が約2割短かった。以上から,本調査区における上げ荷横取り集材作業の生産性を求めると6.2m3/時となり,架線下だけでなく横取り集材作業においても既存タワーヤーダより高い生産性が期待できることが示唆された。
著者
豊川 勝生 山田 容三 広部 伸二 上村 巧 今冨 裕樹 鹿島 潤
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.183-192, 1997
参考文献数
6

ホイールグラップルスキッダを用いた集材作業について検討したが,材つかみ時間が全作業時間中4.6%のみであるため,従来のウインチスキッダ作業と比べ高い作業能率を示した。作業中のオペレータの平均心拍数は84拍/分で,生理的負担は軽く,最高心拍数は,後方を注視する材つかみ時に生じた。スキッダの主な前方注視野内妨害物は,キャビン,ボンネット,排気管であった。オペレータは排土板とタイヤをよく見ていたが,その立体角は小さい。「材つかみ」時の伐倒材や「実車走行」時の牽引材の後方確認は,グラップルスキッダの座席が右前へ17°傾いているため行いやすいが,体をひねる後向き操作が全作業時間の55.8%にもなった。スキッダ座席上の3方向の振動は,ISO基準の疲労減退曲線のレベル以下であった。オペレータ耳元騒音は,空車後進時,実車時で騒音レベルが高く,1〜4KHzで日本産業衛生学会の基準レベルを超えていた。この等価騒音レベルは80〜93dB(A)で,労働安全衛生規則の基準を超えるものもみられた。スキッダのレバー,ペダルの配置は,すべてJIS規格の適切な操作範囲内に配置してあった。スキッダのステップ高は推奨値より高いため,オペレータは乗降時に無理な姿勢を強いられていた。