著者
鹿島 潤 都築 伸行 鹿又 秀聡 興梠 克久
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

チェーンソー用防護服を使用している300超名の林業労働者に対してアンケート調査を行った。その結果、防護服の日常管理が必ずしも正しい方法行われていない現状が明らかになった。メーカーからの使用上の注意事項への認識が十分でなく、誤った使用、管理が行われているため防護性の低下している防護服を使っている作業者が多い可能性が示された。特に洗濯方法を誤っている場合や、破損を自分で修理している場合にその可能性が高い。防護服が破損する理由は様々であるが、チェーンソーで切った、汚れがひどくなった、破れたといった理由が多い。作業者の身体に合っていないサイズの防護服を使用しているために破損している場合も少なからずあると考えられる。防護服の更新期間は約2年と推測されたが、正しい使い方とメンテナンスができれば更新期間の延長が可能なばかりか、更新経費の抑制も可能と考えられる。
著者
豊川 勝生 山田 容三 広部 伸二 上村 巧 今冨 裕樹 鹿島 潤
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.183-192, 1997
参考文献数
6

ホイールグラップルスキッダを用いた集材作業について検討したが,材つかみ時間が全作業時間中4.6%のみであるため,従来のウインチスキッダ作業と比べ高い作業能率を示した。作業中のオペレータの平均心拍数は84拍/分で,生理的負担は軽く,最高心拍数は,後方を注視する材つかみ時に生じた。スキッダの主な前方注視野内妨害物は,キャビン,ボンネット,排気管であった。オペレータは排土板とタイヤをよく見ていたが,その立体角は小さい。「材つかみ」時の伐倒材や「実車走行」時の牽引材の後方確認は,グラップルスキッダの座席が右前へ17°傾いているため行いやすいが,体をひねる後向き操作が全作業時間の55.8%にもなった。スキッダ座席上の3方向の振動は,ISO基準の疲労減退曲線のレベル以下であった。オペレータ耳元騒音は,空車後進時,実車時で騒音レベルが高く,1〜4KHzで日本産業衛生学会の基準レベルを超えていた。この等価騒音レベルは80〜93dB(A)で,労働安全衛生規則の基準を超えるものもみられた。スキッダのレバー,ペダルの配置は,すべてJIS規格の適切な操作範囲内に配置してあった。スキッダのステップ高は推奨値より高いため,オペレータは乗降時に無理な姿勢を強いられていた。
著者
井上 英二 鹿島 潤 坂井 純 井手 治
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.3-10,27, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ゴム履帯走行部を有する農業機械では, 路面の凹凸や作業機の他に, 転輪配置の良否更には左右履帯の位相などによって振動が生じる。機体の振動特性を把握するには, 機体重心位置での並進加速度成分計測法の精度向上のため, 12個の加速度変換器を用いた計測理論の拡張を行い, この計測法の利点について報告する。さらに, 本計測法を用いてゴム履帯車両の振動加速度の6自由度成分計測を行い, 転輪配置と左右履帯ラグの位相の影響による履帯車両の並進・回転成分の振動特性を明らかにした。
著者
今冨 裕樹 鹿島 潤
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-12, 2004-04-15
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は温熱環境の視点から,生理的快適性に富むチェーンソー保護衣開発のための基礎資料を得ることを目的として,市販されている3種類のチェーンソー保護衣の衣服内気候を調べた。ズボンタイプの保護衣の着用は,冬季では,温冷感尺度は「やや暖かい」,快適感尺度は「快適」,春季では温冷感尺度は「暖かい」,快適感尺度は「不快」,夏季では温冷感尺度で「暑い」〜「非常に暑い」,快適感尺度は「非常に不快」に区分された。したがってわが国においてズボンタイプの保護衣の着用は冬季では適するが,それ以外の季節では温熱環境の視点から適用しにくいものと考えられた。チャプスタイプの保護衣の着用は,冬季ではズボンタイプの保護衣と比べて暖かさは劣るが,未着用に比べるとかなり暖かさが確保されること,春季では衣服内湿度が比較的低いためにさほど蒸れも感じられないこと,夏季では暑さや蒸れが感じられることがわかった。夏季では時折,留め具を緩めて保護衣内の換気をよくすることにより,暑さや蒸れによる不快感を緩和させることができるものと思われた。なお,保護衣内の温度上昇に伴う生体負担の変化を調べた結果,着用保護衣の違いから生じる温熱環境と生体負担との間に明確な関係を見出すことはできなかった。