著者
上村 直実 八尾 隆史 上山 浩也 藤澤 貴史 矢田 智之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1733-1743, 2014 (Released:2014-06-03)
参考文献数
51
被引用文献数
5

種々の感染診断法の偽陰性に伴う「H. pylori陰性胃癌」が少なからず認められるが,H. pylori未感染の胃粘膜に発生する「H. pylori未感染胃癌」の頻度は稀である.「H. pylori未感染胃癌」として代表的なものは,分化型胃癌に関しては八尾らが提唱した胃底腺型胃癌であり,未分化型胃癌に関しては粘膜内の印環細胞癌と考えられる.胃底腺型胃癌は,おもに胃体部に発生する腫瘍で,免疫組織学的には胃型形質を主体とする低異型度の癌であるが,早期に粘膜下層への浸潤がみられるもので,日常の内視鏡診療では萎縮性変化のない胃粘膜の胃体部に存在する小さな粘膜下腫瘍様病変に注意が必要である.一方,未分化型胃癌については,未感染胃粘膜に比較的多くみられる印環細胞癌が代表的なものと思われ,内視鏡的には胃体部の小さな褪色領域に注意すべきであり,今後,症例を集積した臨床的な解析が必要である.H. pylori陰性時代を迎える今後,H. pylori陽性胃癌と未感染胃癌に関する遺伝子レベルでの検討が必要となっている
著者
上村 直実 八尾 隆史 上山 浩也 藤澤 貴史 矢田 智之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1733-1743, 2014

種々の感染診断法の偽陰性に伴う「<I>H. pylori</I>陰性胃癌」が少なからず認められるが,<I>H. pylori</I>未感染の胃粘膜に発生する「<I>H. pylori</I>未感染胃癌」の頻度は稀である.「<I>H. pylori</I>未感染胃癌」として代表的なものは,分化型胃癌に関しては八尾らが提唱した胃底腺型胃癌であり,未分化型胃癌に関しては粘膜内の印環細胞癌と考えられる.胃底腺型胃癌は,おもに胃体部に発生する腫瘍で,免疫組織学的には胃型形質を主体とする低異型度の癌であるが,早期に粘膜下層への浸潤がみられるもので,日常の内視鏡診療では萎縮性変化のない胃粘膜の胃体部に存在する小さな粘膜下腫瘍様病変に注意が必要である.一方,未分化型胃癌については,未感染胃粘膜に比較的多くみられる印環細胞癌が代表的なものと思われ,内視鏡的には胃体部の小さな褪色領域に注意すべきであり,今後,症例を集積した臨床的な解析が必要である.<I>H. pylori</I>陰性時代を迎える今後,<I>H. pylori</I>陽性胃癌と未感染胃癌に関する遺伝子レベルでの検討が必要となっている
著者
上村 直実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.464-467, 2006-03-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
著者
春間 賢 隅井 浩治 森川 章彦 上村 直実 忌部 明 木村 学 徳毛 健治 吉原 正治 豊島 仁 井上 和彦 松原 秀樹 梶山 梧朗 松本 隆允
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.851-857, 1989 (Released:2007-12-26)
参考文献数
30
被引用文献数
5 5

胃底腺性過形成性ポリープ (胃底腺ポリープ) の胃酸分泌, 血清ガストリン値および血清ペプシノーゲン1 (PG1) 値について, 健常者と腺窩上皮性過形成性ポリープ (腺窩上皮ポリープ) の値と比較検討した. 胃酸分泌と血清PG1値は健常者と胃底腺ポリープでは差がなく, 腺窩上皮ポリープでは著しい低値を示した. 一方, 血清ガストリン値は, 健常者と比較すると, 胃底腺ポリープではやや低値を, 腺窩上皮ポリープでは著しい高値を示した. さらに, 組織学的な検討とあわせ, 胃底腺ポリープは過形成性ポリープの一つに分類されるが, 胃底腺に高度の萎縮をともなう腺窩上皮ポリープとは異なり, 萎縮のない胃底腺粘膜に発生していることを明らかとした.