著者
松尾 賢一 上田 勝彦 梅田 三千雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1617-1626, 1997-06-25
被引用文献数
56

2値画像の単純さを表す尺度とされる複雑度および平均隣接数を用いて, 適応しきい値法に基づく情景画像からの銀行看板上の文字列抽出方法について述べる. 明度情景画像に対して各明度値をしきい値として2値化し, 複雑度あるいは平均隣接数を求めて変化を曲線に表す. この変化の極大となる点より, 比較的単純な2値画像が得られる複数のしきい値を定める. これにより, 明度情景画像を複数枚の分解画像と呼ぶ2値画像に変換する. そして, 分解画像内における閉領域の外接方形の形状から閉領域を3種類に分類する. このうち文字領域候補として分類された方形に対して文字列の連結性を規定する4条件を設定し, それをもとに分解画像ごとに文字列領域候補を決定する. 次に, 分解画像ごとに得られた文字列領域候補を重畳した文字列統合画像を作成し, X軸方向における文字総数ヒストグラムより, 文字列候補の出現頻度を求め文字列領域を抽出する. 本手法より, カラー情景画像100枚中450文字を対象に文字列抽出実験を行い, 分解画像の作成に複雑度を用いた手法から, 文字領域抽出率93.3%, 文字列領域候補抽出率85%, 文字列領域抽出数は100列中97列の結果が得られた.
著者
上田 勝彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8, pp.27-34, 2008-01-25

問題となる文書中の筆跡からその筆者を特定する,いわゆる筆跡鑑定,筆者照合,筆者識別などの研究は,個々の筆者は他人の筆跡とは異なる安定した筆跡(筆跡個性)を持っているという仮説に基づいている.この仮説は,長年にわたる多数の事例研究をとおして経験的に広く認められている.しかし鑑定結果の法科学的証拠としての信頼性を高めるためには,科学的・定量的に厳密に検証されなければならない.著者らは先にこのような立場から日本字署名を対照として,変動エントロピーと呼ばれる量と筆者照合実験によって筆跡個性の存在を検証する方法を提案した.本報告では,この手法を日本字の通常筆跡に適用した結果について述べる.さらに,この結果と先の署名筆跡に対する結果とを比較して,筆跡個性の表れ方の字種依存性と筆者依存性について検討し,筆跡個性に関する仮説の成立要件を考察する.The handwriting analysis to determine the writer, such as so-called handwriting examination, writer verification and writer identification is based on the hypothesis that each individual person has consistent handwriting that is distinct from the handwriting of other individuals. This hypothesis has been accepted subjectively through many case studies. However this hypothesis must be established with scientific and quantitative rigor in order to raise its admissibility as forensic evidence. From this point of view, the author proposed a method to validate individuality of Japanese signature by variation entropy and a writer verification experiment previously. This report describes the result that applied this method to normal Japanese handwriting. The author discusses on difference of a property of individuality expression between normal handwriting and signatures. The author discusses also a condition to which the hypothesis about handwriting individuality is accepted.
著者
松尾 賢一 上田 勝彦 梅田 三千雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.101-102, 1997-09-24

宅配会社は, 荷物を配送地域への仕分けの際に区分けコードを使用している。区分けコードは, 4桁の数字とその中間にハイフンを持ち, 配送伝票上に赤色のフェルトペンで重ね書きされている。本研究では, この配送伝票からの重ね書き文字の抽出手法を提案し, その手法の有効性の評価および検討を行なう。