- 著者
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林 衛
難波 美帆
上田 昌文
島薗 進
鬼頭 秀一
- 巻号頁・発行日
- pp.1-59, 2012-11-17
2011年3月に原発震災が始まってから1年半がすぎ,子ども・被災者支援法が成立したものの,被曝を避ける権利は十分に確立せず,低線量被曝問題では,がれき処理,食品「風評被害」問題など,混乱は収まる気配をみせていない。それどころか,「対立」や「分断」が深刻化している場面もみられる。また,エネルギー政策,脱原発をめぐる政策立案に向けたパブリック・コメントや意見聴取会が参加型民主主義の新しい試みとしてとりいれられたものの,その実施方法や広報に大きな課題を残している。そこで,研究者や政府,市民,メディアによる原発に関するリスクコミュニケーション,意思決定のための情報共有の分析事例を話題提供者が紹介し,対論者のコメントと会場とのやりとりによって,問題点の共有,掘り下げを実現する。情報共有のためには,どの事実に着目するかとともに,科学者といえども逃れられない(専門家ゆえに偏りがちな)バイアスの存在に気づく重要性が科学技術社会論の問題として浮かびあがる。そこで,オーガナイザ自身による問題提起・報告に続き,以下の報告,発言をお願いした。[報告]:難波美帆 参加型民主主義のための情報導線̶道はついたのか上田昌文 食品放射能汚染への対策はいかにあるべきか̶市民科学の実践から[コメント]:島薗 進 なぜ専門家は放射能健康影響を過小評価するのか?/佐倉 統 なぜ人は放射能を怖がるのか?/鬼頭秀一 中立的な立場を取ろうとする専門家がリスクコミュニケーションに失敗するのはどうしてか̶政策論的立場からの脱却の必要性と地を這う視点の獲得の必要性