著者
宮沢 孝幸 上田 真保子 入江 崇
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus:FeLV)は猫に免疫不全や白血病を引き起こす。猫はFeLV感染後数年でほとんどが死に至るため、FeLV感染症は獣医臨床上大きな問題となっている。FeLVに対するワクチンは90年代から市販されているものの感染防御能は低い。感染防御能の低さは、ワクチンが中和抗体を誘導しにくいことによるが、その原因はFeLVの外被糖タンパク質のグリカン(糖鎖)にある。本研究ではグリカンによって隠されていた中和エピトープを露出させたシュードタイプウイルスを作製することに成功した。本研究により、感染防御能の高いFeLVワクチンの開発に道を拓いた。
著者
上田 真保子 宮沢 孝幸 大保木 啓介
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

乳がん臨床試料から得た遺伝子発現解析で、レトロトランスポゾン由来の遺伝子である「Arc」と「Peg10」が高発現することを見出した。これらの遺伝子はレトロウイルスのGag遺伝子と相同で、ウイルス様の粒子(VLP)を形成し、乳がんの転移に関わる可能性が高い。またVLPを形成可能なタンパク質をコードする、レトロトランスポゾンがヒトゲノムに多数あることから、ArcやPeg10以外にもVLPを形成する遺伝子が存在する可能性がある。本研究では、乳がん試料からVLPを形成するレトロトランスポゾン由来遺伝子をすべて同定し、そのVLPが内包するRNAが乳がん治療に向けての新しい分子標的となりうるかを調べる。