著者
宮沢 孝幸 上田 真保子 入江 崇
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus:FeLV)は猫に免疫不全や白血病を引き起こす。猫はFeLV感染後数年でほとんどが死に至るため、FeLV感染症は獣医臨床上大きな問題となっている。FeLVに対するワクチンは90年代から市販されているものの感染防御能は低い。感染防御能の低さは、ワクチンが中和抗体を誘導しにくいことによるが、その原因はFeLVの外被糖タンパク質のグリカン(糖鎖)にある。本研究ではグリカンによって隠されていた中和エピトープを露出させたシュードタイプウイルスを作製することに成功した。本研究により、感染防御能の高いFeLVワクチンの開発に道を拓いた。
著者
入江 崇 福士 雅也 坂口 剛正 酒井 宏治
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

センダイウイルスは、ヒトに病原性、遺伝毒性を持たず、蓄積された基礎研究成果に基づいた様々な性能改変が可能であり、iPS細胞作製用ウイルスベクターとしても広く利用されている。本研究では、我々の保有する様々なSeV株、変異クローン、組換え変異体などを基に、他のウイルス増殖に対して単独または相互干渉作用を示すウイルスを探索し、干渉性能をレポーターウイルスなどを作成して詳細に評価するとともに、ベクターの半生化や性能の改良を行う。これらの検討は、当初は培養細胞系を中心に行うが、マウス実験系での評価も行う。
著者
宮沢 孝幸 坂口 翔一 小出 りえ 谷利 爵公 入江 崇 古谷 哲也 水谷 哲也 神道 慶子 野田 岳志 桑原 千恵子 酒井 沙知 浅井 健一 川上 和夫
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

これまで猫の腎炎とウイルスの関係に注目した研究はほとんどなかった。しかし、2012年に香港で尿細管間質性腎炎と関連するネコモルビリウイルス(FeMV)が発見された。FeMVはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に分類されるウイルスで、猫の尿や糞便から検出されている。アジア、ヨーロッパ、アメリカの様々な国でFeMVの検出がなされていることから、同ウイルスは世界中に広まっていると考えられている。しかし、その一方でこのウイルスの病原性発現機構は不明である。そこで本研究においては、FeMV感染時の宿主の免疫応答に着目し、FeMV感染とウイルス性腎炎の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。