著者
上野 成三 高山 百合子 前川 行幸 原条 誠也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1261-1265, 2003

従来のアマモ移植は多大な労力を要する播種法や株植法により実施されているのに対して, 播種・株植が不要な新しいアマモ移植手法を提案する. 本手法は, 天然のアマモ場に敷設したマット上にアマモ種子を自然発芽・定着させ, このマットを本移植地へ移設するものである. 本手法の実証実験として, 英虞湾立神浦でマットの敷設実験と移設実験を実施した. マット敷設実験ではマット上に1000本/m<SUP>2</SUP>以上の高密度でアマモが定着し, 天然アマモ場からの種子の自然落下によるアマモマットの形成が実証できた. 一方, マット移設実験では天然アマモ場に比べて移設先でのアマモの生長が鈍化した. これはマット移設時の根の損傷が原因と考えられ, 今後の課題となった.
著者
高山 百合子 国分 秀樹 上野 成三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.139-150, 2008 (Released:2008-07-22)
参考文献数
38

三重県英虞湾において,浚渫ヘドロを用いた干潟実験区を5つ造成し,3年にわたり底質,底生生物の追跡モニタリングを実施した.その結果,砂質土干潟より浚渫ヘドロを混合した干潟の方が底生生物の種類数,個体数がともに増大することが分かり,浚渫ヘドロは干潟材料として有用であることが確かめられた.また,底生生物が増大する底質の最適条件はIL4∼6%,COD3∼8mg/g,泥分20∼30%となった.適度な有機物を含む底質で底生生物が増大するこの特性は,他海域の調査結果とも同様であったことから全国の海域で共通することが確認された.以上より,底生生物の増大を目的とした干潟設計条件として浚渫ヘドロの混合割合の設定が可能となり,浚渫ヘドロを処分するのではなく干潟表面の造成材料に有効利用する新しい資源循環型の干潟造成方法が確立された.
著者
国分 秀樹 奥村 宏征 高山 百合子 湯浅 城之 上野 成三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1231-1235, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

著者らのグループは, 浚渫ヘドロの含有する豊富な有機物を干潟生態系への栄養供給材料として利用できるという観点から, 2004年3月に英虞湾において約3,000m2の人工干潟を造成し, 底生生物及び底質の調査を行ってきた.昨年度までの研究成果としては, 干潟生態系に最適な底質の有機物量と粒度, 地盤高条件を明らかにし, 干潟造成材に浚渫ヘドロを利用する際の混合率の設定方法をとりまとめた.本論文では, 造成干潟域の周囲をシートで囲うことにより, 干潟域に流入・流出する水質の変化について2潮汐間にわたり定量的に連続観測し, 人工干潟の特性および干潟に流入出する物質のフラックスについて検討した.その結果, 浚渫ヘドロを用いた人工干潟の特性として, 懸濁態有機物に対してシンクであり, 溶存態無機栄養塩に対してはソースとして機能していることが明らかとなった.