著者
平良 彰浩 下川 秀彦 浦本 秀隆 迎 寛 山口 幸二 田中 文啓
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.159-163, 2014-03-15 (Released:2014-04-28)
参考文献数
8

胸壁発生のカンジダ膿瘍は我々が検索しうる限り報告例はない.今回悪性腫瘍との鑑別診断に苦慮したカンジダ膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は80代男性.2011年9月に肝細胞癌に対し,肝後区域切除施行.術後肝膿瘍(candida albicans)を発症し,経皮経肝膿瘍ドレナージ,ボリコナゾール投与にて,軽快し退院となった.2012年6月に右前胸部痛と腫脹,弾性硬の腫瘤を自覚.精査にて肝細胞癌の胸壁への転移が疑われた.胸壁腫瘍に対して,胸壁合併切除(第5-7肋骨)及び胸壁再建を施行した.術後病理診断にて膿瘍形成,炎症細胞の浸潤を認め,細菌培養にてCandida albicans陽性となりカンジダ膿瘍と診断された.術後はミカファンギン150 mg/dayを4週間投与,ボリコナゾールの内服を2週間行った.術後6ヵ月において再発は認めていない.胸壁に発生したカンジダ膿瘍に対し外科的切除を施行した症例を経験したので報告する.
著者
馬場 哲郎 浦本 秀隆 山田 壮亮 桑田 泰治 永田 好香 重松 義紀 下川 秀彦 小野 憲司 竹之山 光広 花桐 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.002-006, 2011-01-15 (Released:2011-04-27)
参考文献数
12

肺カルチノイド切除10例について臨床病理学的因子と治療成績に関して検討を行った.定型的カルチノイド(TC)が7例で非定型的カルチノイド(AC)が3例.平均年齢は49.5歳で,男性6例,女性4例(全例TC)であった.術前にカルチノイドの診断がついたのは4例であり,他組織型の肺癌と診断されたのが4例.術式は肺摘除が2例,二葉切除が1例,肺葉切除4例,区域切除1例,部分切除1例,気管支形成術1例であった.TCでは術後(平均観察期間63ヵ月)の再発例はなく,ACは全例が再発.カルチノイド全体での5年生存率は62.5%で,TCは100%,ACでは5年生存例はなかった.TCについては機能温存手術の適応の検討が,ACについては周術期の補助療法など集学的治療の検討が必要であると考える.