著者
長田 良雄 黒田 悦史 山田 壮亮
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

炎症性疾患に抑制作用をもつ寄生虫を複数比較し、抑制効果に必須の因子を見出すことを目指した。腸管寄生線虫Heligmosomoides polygyrus (Hp) とマンソン住血吸虫(Sm)のマウス実験的1型糖尿病(T1D)抑制効果はSTAT6とIL-10二重欠損下においても観察できた。その際膵リンパ節や脾臓マクロファージが非典型的なM2様活性化を受けており、抗糖尿病効果に関与している可能性が考えられた。一方Smのコラーゲン関節炎抑制効果はSTAT6に依存していた。本成果により蠕虫の抗炎症機構の一端が解明された。将来の低病原性寄生蠕虫を用いた炎症性疾患治療法開発への貢献が期待される。
著者
馬場 哲郎 浦本 秀隆 山田 壮亮 桑田 泰治 永田 好香 重松 義紀 下川 秀彦 小野 憲司 竹之山 光広 花桐 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.002-006, 2011-01-15 (Released:2011-04-27)
参考文献数
12

肺カルチノイド切除10例について臨床病理学的因子と治療成績に関して検討を行った.定型的カルチノイド(TC)が7例で非定型的カルチノイド(AC)が3例.平均年齢は49.5歳で,男性6例,女性4例(全例TC)であった.術前にカルチノイドの診断がついたのは4例であり,他組織型の肺癌と診断されたのが4例.術式は肺摘除が2例,二葉切除が1例,肺葉切除4例,区域切除1例,部分切除1例,気管支形成術1例であった.TCでは術後(平均観察期間63ヵ月)の再発例はなく,ACは全例が再発.カルチノイド全体での5年生存率は62.5%で,TCは100%,ACでは5年生存例はなかった.TCについては機能温存手術の適応の検討が,ACについては周術期の補助療法など集学的治療の検討が必要であると考える.