著者
桑田 泰治 浦本 秀隆 宗 知子 花桐 武志 田中 文啓
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.060-063, 2012-01-15 (Released:2012-02-29)
参考文献数
8

症例は68歳男性.咳,血痰を主訴に近医を受診した.胸部CTで右肺尖部から肺門部にかけての腫瘤を認めた.気管支鏡検査にて放線菌が疑れたため,抗生剤治療を開始した.自覚症状は改善したが,腫瘤の縮小を認めなかったため,肺癌の合併を疑い,診断と治療を兼ねた手術を行った.術式は胸腔鏡補助下右肺上葉切除術とリンパ節郭清(術中迅速病理診断carcinoid).術後診断はadenocarcinoma, p-T3N1M0 stage IIIA.摘出標本からは放線菌は認めなかった.今回,我々は肺放線菌症に肺腺癌を合併した比較的稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
馬場 哲郎 浦本 秀隆 山田 壮亮 桑田 泰治 永田 好香 重松 義紀 下川 秀彦 小野 憲司 竹之山 光広 花桐 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.002-006, 2011-01-15 (Released:2011-04-27)
参考文献数
12

肺カルチノイド切除10例について臨床病理学的因子と治療成績に関して検討を行った.定型的カルチノイド(TC)が7例で非定型的カルチノイド(AC)が3例.平均年齢は49.5歳で,男性6例,女性4例(全例TC)であった.術前にカルチノイドの診断がついたのは4例であり,他組織型の肺癌と診断されたのが4例.術式は肺摘除が2例,二葉切除が1例,肺葉切除4例,区域切除1例,部分切除1例,気管支形成術1例であった.TCでは術後(平均観察期間63ヵ月)の再発例はなく,ACは全例が再発.カルチノイド全体での5年生存率は62.5%で,TCは100%,ACでは5年生存例はなかった.TCについては機能温存手術の適応の検討が,ACについては周術期の補助療法など集学的治療の検討が必要であると考える.