著者
大原 涼平 下村 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00062, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
36

シラン系表面含浸材を用いたひび割れ補修による水分浸透抑制効果を把握するため,シラン系表面含浸材を塗布したひび割れを有する供試体を屋外暴露し,質量の経時変化を測定した.その結果,ひび割れを有する供試体にシラン系表面含浸材を塗布した場合,ひび割れによる吸水の促進を抑制することが明らかとなった.また,温湿度の変動・降雨・ひび割れの影響を考慮したコンクリートの水分移動解析を用いた検討より,シラン系表面含浸材を用いたひび割れ補修による水分浸透抑制効果は含浸部の吸水の抑制と乾燥・吸湿時の水分移動の低減であることを明らかにした.
著者
蓑輪 圭祐 下村 匠 川端 雄一郎 藤井 隆史 富山 潤
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.134-149, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2

温湿度,降雨,日射の環境作用がコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響を把握するため,同時に作製した角柱試験体を全国 4 地点で屋外暴露し,水分量と収縮量の経時変化を測定した.その結果,各地の一年間の収縮量はほぼ同等であったが,季節ごとの収縮の進行が異なることが明らかとなった.温湿度の変動・日射・降雨の影響を考慮できるコンクリートの水分移動および収縮に関する数値解析法を用いた検討により,湿度の変動と降雨が収縮量に及ぼす影響が大きいことを明らかにした.湿度の変動と降雨の影響を考慮する係数を平均湿度と降雨時間割合から算出し,平均湿度に乗じた見かけの相対湿度を乾燥収縮予測式に用いることで,屋外におけるコンクリートの収縮を簡易的に予測できることを示した.
著者
蓑輪 圭祐 下村 匠 川端 雄一郎 藤井 隆史 富山 潤
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.134-149, 2021
被引用文献数
2

<p> 温湿度,降雨,日射の環境作用がコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響を把握するため,同時に作製した角柱試験体を全国 4 地点で屋外暴露し,水分量と収縮量の経時変化を測定した.その結果,各地の一年間の収縮量はほぼ同等であったが,季節ごとの収縮の進行が異なることが明らかとなった.温湿度の変動・日射・降雨の影響を考慮できるコンクリートの水分移動および収縮に関する数値解析法を用いた検討により,湿度の変動と降雨が収縮量に及ぼす影響が大きいことを明らかにした.湿度の変動と降雨の影響を考慮する係数を平均湿度と降雨時間割合から算出し,平均湿度に乗じた見かけの相対湿度を乾燥収縮予測式に用いることで,屋外におけるコンクリートの収縮を簡易的に予測できることを示した.</p>
著者
渡邉 一旭 下村 匠 藤本 憲宏 笠原 久稔 鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.78-88, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
20

鉄筋コンクリート製通信用マンホールを効率的に維持管理するために,マンホールのコンクリート中の鉄筋の腐食予測法を構築した.コンクリート中の水分状態,温度,酸素の供給を考慮した鉄筋腐食予測モデルを新たに定式化し,地盤とマンホールの統合熱伝導解析法により予測したマンホールのコンクリート中の含水状態から,全国の様々な条件下に埋設された通信用マンホールの鉄筋腐食の進行予測を行った.その結果,地域による気候の違いを考慮しつつ全国のマンホールの鉄筋腐食進行の傾向を概ね再現できることを示した.
著者
工藤 めい 下村 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.196-207, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3

コンクリートの吸水・乾燥挙動に及ぼすひび割れの影響を把握するため,一本および複数本の曲げひび割れを有するコンクリート供試体を用いて乾湿繰返し試験を行った.その結果,ひび割れ幅が大きいほど吸水,乾燥が促進されること,ひび割れを有するコンクリート部材の乾湿挙動は,ひび割れ幅とひび割れ間隔の比であるひび割れひずみに依存することを明らかにした.また,実験結果を再現する,ひび割れの影響を考慮したコンクリート中の水分移動解析法を開発した.これを用いて,長期乾湿挙動に及ぼすひび割れの影響,乾湿作用の影響について感度解析を行った結果,ひび割れひずみがひび割れの状態を表す有効な指標であること,長期乾湿挙動予測する場合は月単位の乾湿サイクルの環境作用モデルを用いても十分な結果が得られることを明らかにした.
著者
下村 匠 細山田 得三
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、飛来塩分環境下におかれた構造物が受ける環境作用を実験室内において再現する装置を作製することを目的としている。平成19年度より製作に着手した実験装置が、平成20年度に完成し、予定通りの性能を発揮することが確認され、有効な実験を行うことができた。実験装置は、断面1m×1m、一周約10mの風洞の中に、プロペラ、塩水粒子発生装置を組み込んだもので、風洞内に設置したコンクリート供試体に、設定された量の飛来塩分を連続的に作用させることができる。このことにより、実環境下ではさまざまな不確定要因の影響を受けるため精度のよいデータの取得が困難であったコンクリートに到達する飛来塩分量とコンクリート内部へ浸透する塩分量との関係が、理想的な条件下で測定することができる。合理的で実現象をよく表す塩分浸透の境界条件の形式の検討、理想的な飛来塩分環境下におけるコンクリート中の拡散係数など、この装置により明らかになることは多いと期待される。水セメント比が40、50、60%のコンクリート供試体に、本装置により継続的に飛来塩分を作用させ、定期的に供試体内部の塩分量の分布を測定した結果から、ボルツマン変換を用いてコンクリート中の塩分拡散係数を塩分濃度の関数として求めた。塩分濃度が増加するにつれて拡散係数が小さくなる結果が得られた。塩分拡散係数のより的確な表現方法の検討は、本装置を用いた今後の継続研究課題である。また平成20年度には、本装置を用いた応用研究として、飛来塩分にさらされたコンクリート構造物の表面を高圧水で洗浄することにより塩分侵入抑制効果が得られるかどうかを実験的に検討した。洗浄頻度が多いほど、内部への塩分侵入を抑制する効果が認められた。