著者
丑田 公規
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.228-231, 2017-05-20 (Released:2017-11-01)
参考文献数
13

大量発生し,厄介者とされているクラゲを有効活用する解決策は,繰り返し話題になっているが,実情はそれほど容易な問題ではない。生物としてのクラゲの習性と,それを取り巻く社会状況は曲解され,それはメディアの取り上げ方によって拡大している。著者は新規な糖タンパク質であるクニウムチンをクラゲ体内に発見した経験をもつが,今のところその抽出が有効対策になるとは考えていない。またクラゲだけでなくムチンという化学物質については,一般人のみならず専門家の間にも誤った情報や呼称が広がっている。そこで,一般の化学教育に携わっている方に正確な情報をていねいにお伝えするため本稿を執筆することにした。
著者
丑田 公規
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 平成20年度までに募集を終了した事業 独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進
巻号頁・発行日
2006

しばしば大量発生するエチゼンクラゲなどは現状では、発電所や各種工場、漁業関係者に多大な除去作業負担を強いるだけの全く無価値の廃棄物である。本研究開発では、これらエチゼンクラゲなどの各種クラゲを収集して、破砕・減量化/抽出・精製の工程作業を経て有効成分を単離して、食品添加物、生分解性プラスチック、化粧品材料をはじめ、胃腸薬、点眼薬、粘液などの医療品原料として広い用途が期待されるムチンの新規な生産法を開発する。廃棄物の除去作業負担を軽減するなど環境保全に寄与するほか、天然物由来の安全な高付加価値製品の創出が期待される。
著者
丑田 公規
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年発見したクラゲ由来ムチンは、構造が判明したシンプルなムチンの稀少例で、これを用いて構成したモデル粘液系の中で起きる物理化学作用をいくつか取り上げ、構造と動的挙動の関係を調べた。金属イオンとの相互作用を重点的に調査し、モルフォロジー変化、化学反応による吸着現象のダイナミクスを明らかにした。特にサンゴ粘液による珊瑚柱形成時のバイオミネラリゼーションをクラゲ粘液成分によって人工的に再現することに成功した。
著者
石岡 邦江 長谷 宗明 北島 正弘 丑田 公規
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.288-294, 2003-05-10 (Released:2009-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

Coherent lattice oscillation can be excited in semimetals and semiconductors with femtosecond optical pulses. The dephasing of the coherent phonons, typically in the picosecond time scale, is dominated by the interaction with photo-excited carriers, incoherent (thermal) phonons, and defects such as impurities and vacancies. Here we present our femtosecond pump-probe study on the relaxation dynamics of the coherent phonons and the photo-excited carriers in ion-irradiated semimetals and semiconductors. The dephasing rate of the coherent optical phonon in bismuth is increased linearly with increasing ion dose due to the scattering by irradiation-induced defects. The dose dependence of the relaxation of the coherent acoustic phonon of graphite is quantitatively explained by a simple model in which a propagating wave is scattered by single vacancies, whereas that of the optical phonon by a modified mass-defect scattering model. In GaAs, the relaxation dynamics of LO phonon-plasmon coupled modes and photo-excited carriers provide quantitative information of carrier trapping due to vacancies.