著者
加藤 景子 北島 正弘
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.317-326, 2010 (Released:2010-06-10)
参考文献数
70
被引用文献数
1 2

Carbon nanotubes have potential to make breakthrough achievement in nano-electronics, photonics, and ultrafast devices. We report real-time observations of coherent phonons in aligned single-walled carbon nanotubes through the time-resolved reflectivity measurements with sub-10 fs laser pulses. In the isotropic reflectivity measurements, we observe the radial breathing modes, G and even D modes, while in the anisotropic reflectivity measurements, only the G mode appears. A complex polarization dependence of the G band phonon amplitude in the isotropic reflectivity indicates the superposition of G band phonons with different symmetries.
著者
石岡 邦江 長谷 宗明 北島 正弘 丑田 公規
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.288-294, 2003-05-10 (Released:2009-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

Coherent lattice oscillation can be excited in semimetals and semiconductors with femtosecond optical pulses. The dephasing of the coherent phonons, typically in the picosecond time scale, is dominated by the interaction with photo-excited carriers, incoherent (thermal) phonons, and defects such as impurities and vacancies. Here we present our femtosecond pump-probe study on the relaxation dynamics of the coherent phonons and the photo-excited carriers in ion-irradiated semimetals and semiconductors. The dephasing rate of the coherent optical phonon in bismuth is increased linearly with increasing ion dose due to the scattering by irradiation-induced defects. The dose dependence of the relaxation of the coherent acoustic phonon of graphite is quantitatively explained by a simple model in which a propagating wave is scattered by single vacancies, whereas that of the optical phonon by a modified mass-defect scattering model. In GaAs, the relaxation dynamics of LO phonon-plasmon coupled modes and photo-excited carriers provide quantitative information of carrier trapping due to vacancies.
著者
北島 正弘 長谷 宗明 Hrvoje PETEK
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.648-654, 2005-11-10 (Released:2007-08-09)
参考文献数
35
被引用文献数
4 3

The progress in femtosecond laser has enabled us to observe coherent motions of lattice and molecular vibrations in solids. Nevertheless the study of coherent phonons in Si, which is an important material for modern devise application, has not been made so far. We report the dynamics of transient interaction of electrons with phonons, followed by generation of coherent optical phonon, in which the pump-probe technique with 400 nm, 10 fs laser is used for the observation. A comparison of the results is made with other semiconductors.
著者
北島 正弘 長谷 宗明 Petek Hrvoje
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.888-892, 2004-12-05

フェムト秒レーザー技術の進歩により種々の物質でコヒーレントに励起された格子振動や分子振動を実時間領域で観測でぎるようになった.しかし,100 fs(1 fs=10^<-15>秒)以下に現れるコヒーレントフォノン生成のダイナミクスは未知の研究領域であり,光励起キャリアとフォノンの強い相互作用の観測が期待できる.我々は10 fsの超短パルスレーザーを用いることにより,シリコンのコヒーレントフォノンの発生,およびコヒーレントフォノンの発生前の信号の中から光励起キャリア系とフォノン系との結合によるファノ干渉を実時間で明確に観測することに成功した.その結果の詳細および物理的意義等について紹介する.
著者
北島 正弘 長谷 宗明 Petek Hrvoje
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.888-892, 2004-12-05
参考文献数
15

フェムト秒レーザー技術の進歩により種々の物質でコヒーレントに励起された格子振動や分子振動を実時間領域で観測でぎるようになった.しかし,100 fs(1 fs=10<SUP>-15</SUP>秒)以下に現れるコヒーレントフォノン生成のダイナミクスは未知の研究領域であり,光励起キャリアとフォノンの強い相互作用の観測が期待できる.我々は10 fsの超短パルスレーザーを用いることにより,シリコンのコヒーレントフォノンの発生,およびコヒーレントフォノンの発生前の信号の中から光励起キャリア系とフォノン系との結合によるファノ干渉を実時間で明確に観測することに成功した.その結果の詳細および物理的意義等について紹介する.
著者
北島 正弘
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

1. 試料作製: グラフェン試料はGOS型に加えて、欠陥の少ない剥離グラフェン及びCVDグラフェンを、超高速測定及びバイアス効果の観察に供した。2. デバイス作成およびバイアス効果測定解析手法の確立: 始めに90 nm酸化膜/Si基板上に剥離グラフェンを付着させた。光学顕微鏡により単層グラフェンの付着確認後、その上に電子線リソグラフィー法により金電極を作成した。周波数48THz付近にGモード(グラフェンの炭素間伸縮振動モードに起因するピーク)の存在を顕微ラマンにより確認した後、超高速分光測定に供した。50Vの電圧印加したとが、このピークの周波数変化は~0.05 THzと小さかった。デバイス構造に問題があると考え、イオン液体を用いた手法へと方針を転換した。イオン液体に浸したCNT電極に電圧を印加した状態でポンプープローブ測定した結果、40 THz及び48 THzにそれぞれ、Dモード、Gモード(欠陥に誘起される振動)のコヒーレントC=C伸縮振動を明瞭に観測することができた。これらのピークの振幅、周波数及び寿命は電圧印加によって大きく変化した。特に高電圧印加ではGモードの強度が極端に減少した。これはフェルミ面が光励起のエネルギーを超えると、フォノン励起が起こりにくくなったことによる。これは、電子格子相互作用に係わるコーン異常効果の消滅により、周囲に自由電子のない“裸の”フォノンの運動に対応する興味深いダイナミクスを示す。3.グラフェンの波束ダイナミックス: 検出光を波長分解することにより、欠陥における電子の弾性散乱によっておこるDモードのフォノンが、非常に高い波数を持ったフォノン波束としてふるまうことを示すことができた。これは光学フォノンの波束励起例としては初めてのものであり、ナノスケールの検出や、操作などの分野に応用できる可能性があり、当初予測しなかった重要な成果である。