著者
田中 浩司
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.139-146, 2000-03-10

本研究は,鬼ごっこにおける役割取得の困難性について検討したものである。幼稚園の3歳児・4歳児・5歳児クラスの子ども達を被験児とし,1)ルール理解課題2)身体を用いず情動を活性化させない場面としての「人形での鬼ごっこ課題」3)身体を用い情動を活性化させる場面としての「身体を用いた鬼ごっこ課題」の3課題を行った。子ども達の行動は(1)追いかける(2)逃げるの成功・失敗及び,(3)逃げるときに追う(4)追うときに逃げる(5)逃げるときにタッチするの失敗行動に分類された。結果は,ルール理解ができていない場合,役割取得が完全にはできない傾向が見られた。また,情動が活性化される実際の鬼ごっこ場面において,役割取得が困難になる場合があるものの,そこに発達的特徴は見出せなかった。