著者
田邊 浩 山中 浩司 竹中 均 眞鍋 知子 松田 洋介 竹内 慶至
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

発達障害のある人びと,とりわけ発達障害のある成人に対する社会的支援は喫緊の社会的課題である.本研究は,日本においてより望ましい社会的支援を実現するための諸条件を探るために,異なった福祉レジームからスウェーデン,ドイツ,アメリカを選び,現地調査を実施するなどして国際比較研究を行なった.福祉レジームの違いが,異なった社会的支援のあり方を生みだしながらも,他方で全体としてどの福祉レジームにおいても社会的包摂をより重視する方向に進んでいることが明らかになった.日本でも発達障害のある人びとへの社会的支援は急速に進められつつあるが,社会的包摂の観点はなお弱いということ浮き彫りにされた.
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 竹中 浩司 湯谷 達 米山 榮 松岡 憲二 巽 轍夫 吉田 篤 北村 清一郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.413-420, 2002-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

遺体解剖と、健康人生体での臨床所見・CT画像より、膏育穴刺鍼の安全深度を検討した。遺体所見では、両膏育穴への刺入鍼は第5肋間に位置し、左側の肋骨の厚さは10mm、体表-胸膜 (肋骨後面) 間距離は44mmであった。健康学生104名の膏盲穴での体表-肋骨前面間距離の最小値は肥満男女以外の体型で14mmであった。標準型・やせ型男性のCT像では、刺入鍼は1側で肋間に、3側で肋骨に達した。肋骨の厚さは各々10.9mm・9.8mm・8.8mmで、体表-胸膜間距離は各々33.6mm・28.4mm・29.4mm・31.8mmであった。以上の結果から、肋骨の厚さと体表一肋骨前面間距離の最小値より勘案すれば、極端なやせ型を除き、19mmまでの刺鍼は、外傷性気胸を起こす可能性は皆無に近く、安全と考えられる。換言すれば、19mm以上の刺鍼では、外傷性気胸を起こす可能性が高まることに留意する必要がある。
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 于 思 湯谷 達 竹中 浩司 佐藤 正人 米山 榮 前岡 弘子 北村 清一郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.103-110, 2000-03-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
29

先天性胸骨裂孔 (以下胸骨裂孔) の出現状況や胸骨の厚さを遺体で調査するとともに、生体での画像所見から、胸骨裂孔の有無および〓中穴での体表から胸骨後面までの距離を調べ、〓中穴への安全刺鍼深度を検討した。その結果、51遺体中の1例に胸骨裂孔が認められた。裂孔は第4肋間の高さにあり、形状はほぼ円形、直径は胸骨外面で9mmで、固い結合組織で埋められていた。21遺体での胸骨の厚さは9-15mmの範囲で平均は11.5±2mmであった。生体31例の〓中穴での体表一胸骨後面間距離は11-31mmの範囲で、平均は18.8±5mmであった。これらの結果から、仮に胸骨裂孔が存在しても、〓中穴への刺鍼では、極端な痩せ型を除いて10mmまでは、刺入鍼が心臓に達する可能性はなく、安全と考えられた。
著者
田中 浩司
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.32-44, 2007-03-28
被引用文献数
2

Previous research on the rule play has mixed the development of peer skill with rule with the approval process of tag play. This article reviews the literatures pertaining to the development of rule play in the infant period chiefly, and analyzes the role of nursery teacher from the view point of scaffolding. The review shows that preschoolers have much difficulty in organizing their play group, and they need some assistance of their teacher. The original concept of scaffolding is more applicable to the rule play with simple structure, whereas the enhancing concept of the scaffolding is more applicable to the rule play with complex structure, is suggested.
著者
山中 浩司
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.150-165, 2012-06-30 (Released:2013-11-22)
参考文献数
61
被引用文献数
2
著者
田中 浩司
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.212-223, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5

本研究の目的は, 集団に対する指導という観点から, 保育者による鬼ごっこの指導の枠組みを明らかにすることである。対象者は, 年長クラスにおいて継続的に鬼ごっこを指導した経験のある, 幼稚園教諭と保育士, 合計10名である。詳細な半構造化面接を行い, 552分に及ぶインタビューデータを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果, 14の概念と4つのカテゴリーが生成され, 全てのカテゴリーと関連する「遊びの流れ作り」がコア・カテゴリーとして位置づけられた。保育者による鬼ごっこの指導は, 次のようなプロセスによって構成されることが示された。保育者はまず, 集団としての「遊びの流れ作り」を行い, その流れの中に子ども自身の意志で参加するように「主体的参加への誘導」を行う。その上で, 子ども自身で遊びをコントロールすることが出来るようにする「自己メンテナンス化」に向けた指導を行っていた。また, 子どもの遊び経験をつなぎ合わせ, 経験に連続性を持たせる「経験の積み上げ」は, 他の3つのカテゴリーをつなぐように機能していることが示された。
著者
田中 浩司
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.11-20, 2016 (Released:2017-05-01)
参考文献数
10
著者
芦澤 清音 浜谷 直人 田中 浩司
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.252-263, 2008
被引用文献数
2

本研究は,ある自治体における発達臨床コンサルテーション理論(浜谷,2005)に基づいて行った巡回相談を対象として,幼稚園への巡回相談の支援機能と構造を明らかにし,支援モデルを提示することを目的とした。その際,保育園への巡回相談を参照しながら,幼稚園と保育園の支援ニーズの違いによって,支援機能にどのような違いがあるかを明らかにし,その違いによる支援のあり方を考察した。研究1で,教諭らへのインタビューによる巡回相談の評価をもとに33項目からなる質問紙を作成した。教諭等の巡回相談に対する評価を因子分析した結果(N=110),「保育方針」「関心意欲」「対象児理解」「保護者理解」「協力」の5つの支援機能が見出され,幼稚園独自の機能と保育園と共通の機能が明らかになった。研究2で,典型的な一事例に関して,担任らと園長に対して行ったグループインタビューを分析し,対象児理解に基づく関心意欲の高まり,及び,園内協力体制の形成が幼稚園巡回相談の支援構造の中核をなし,それを支援する相談員の専門性が考察された。
著者
小野 貴広 徳田 孝明 庄林 雅了 中 浩司
出版者
東北職業能力開発大学校付属 秋田職業能力開発短期大学校
雑誌
東北職業能力開発大学校附属秋田職業能力開発短期大学校紀要
巻号頁・発行日
vol.15, pp.40-44, 2010-03

近年組込みソフトウェア技術者の不足問題もあり、組込みに関する教育の取り組みは、クローズアップされている。組込みソフトウェアの人材育成を目的としているET ソフトウェアデザインロボットコンテスト(通称:ET ロボコン)に我々は魅力を感じ、昨年度から参加し今年度もそのコンテストへ学生と共にチャレンジすることにした。その結果「ソフトウェア開発技術の向上」、「チーム開発のノウハウの習得」、「一連の開発工程の体験」においての教育訓練効果が再度確認できた。また、今年度は、北海道・東北地区大会で総合優勝し、チャンピオンシップ大会では総合3 位という結果を得た。本稿では、情報技術科および電子情報技術科の教員が、昨年度のノウハウと反省を活かしながら、数ヶ月にわたり携わってきたこの取り組みについて報告をする。
著者
山中 浩司 岩江 荘介 香取 久之 野島 那津子 樋口 麻里
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間中、希少疾患当事者53件(医療費公費負担対象疾患(インタビュー実施時)25件、2)その他希少疾患20件、3)未診断8件)に対して56回のインタビュー調査を実施した。うち、40件については、2017年3月に、病の経験と社会的認知に関係する11項目について中間報告書(162頁)をまとめ、関係者に送付し、概要を協力団体のウェブサイトに掲載した。40件の聞き取りデータ(のべ76時間)から、希少疾患患者における「社会的宙づり状態liminality」を明らかにし、成果の一部については、国内外の学会で報告を行った。また、こうした状態の中核をなす就労問題について、関係者から意見聴取も行った。
著者
田中 浩司
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.212-223, 2010-06-30

本研究の目的は,集団に対する指導という観点から,保育者による鬼ごっこの指導の枠組みを明らかにすることである。対象者は,年長クラスにおいて継続的に鬼ごっこを指導した経験のある,幼稚園教諭と保育土,合計10名である。詳細な半構造化面接を行い,552分に及ぶインタビューデータを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果,14の概念と4つのカテゴリーが生成され,全てのカテゴリーと関連する「遊びの流れ作り」がコア・カテゴリーとして位置づけられた。保育者による鬼ごっこの指導は,次のようなプロセスによって構成されることが示された。保育者はまず,集団としての「遊びの流れ作り」を行い,その流れの中に子ども自身の意志で参加するように「主体的参加への誘導」を行う。その上で,子ども自身で遊びをコントロールすることが出来るようにする「自己メンテナンス化」に向けた指導を行っていた。また,子どもの遊び経験をつなぎ合わせ,経験に連続性を持たせる「経験の積み上げ」は,他の3つのカテゴリーをつなぐように機能していることが示された。