- 著者
-
中塚 義実
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
- 巻号頁・発行日
- pp.36_2, 2019 (Released:2019-12-20)
「附属学校のオリンピック教育の取りまとめ役をやってくれないか」と附属学校教育長から2010年秋に打診された際、私は乗り気ではなかった。折角スポーツが教育から解放されつつあるのに、また教育の手段に逆戻りするのかとの懸念を氏にお伝えした覚えがある。翌2011年、「国際ピエール・ド・クーベルタン・ユースフォーラム」に高校生を引率し、世界で展開されるオリンピック教育を体験した。何のことはない、日本では体育の授業や体育的行事、運動部活動等を通して100年も前からやっていることばかりである。本来の日本の学校体育をきちんとやっていればよい!しかし現実的にみて、日本の学校体育では「スポーツを通した人間教育」が為されていると言えるか。また日本の教育は「知徳体のバランスのとれた人間」を育てていると言えるか。クーベルタンや嘉納治五郎の思想に立ち返り、オリンピズムを教育に位置づけることこそが2020のレガシーとして求められることではないか。体育実技サッカーでの「自由と責任を考える」授業や体育理論の実践、高校生対象の「クーベルタン-嘉納ユースフォーラム」等、当事者として考え実践していることを紹介しながら皆さんと議論したい。