- 著者
-
中屋 宗雄
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
(はじめに)我々は,ヒト鼻粘膜におけるヒスタミンH3受容体の存在を免疫組織学的にその局在を明らかにし過去に報告したが,マウスにおけるその存在は不明であった.マウスにおけるヒスタミンH3受容体の存在を確認し,その働きを検討するために研究を行った.また,鼻アレルギーマウスの過敏性を非侵襲的に他覚的に評価する方法について研究した.(方法)正常マウスおよび鼻アレルギーマウスにおけるヒスタミンH3受容体のmRNAの存在と,免疫組織学的にその局在を検討した.また,鼻アレルギーマウスにヒスタミンH3受容体刺激薬・拮抗薬の投与を行いその効果を検討した.さらに,ヒスタミンH1受容体拮抗薬とヒスタミンH3受容体刺激薬の相互作用についても検討した.また、鼻アレルギーマウスの過敏性を非侵襲的に他覚的に評価するために,Penhを使用しその評価を行った.(結果)マウスの鼻粘膜におけるヒスタミンH3受容体の存在を,PCR法により確認することができた.また,正常マウスおよび鼻アレルギーマウスのいずれにもヒスタミンH3受容体のmRNAの発現を認めた.免疫染色でも,その局在を確認できた.ヒスタミンH3受容体刺激薬投与により鼻アレルギーマウスの鼻症状(くしゃみ・鼻掻き)を有意に抑制し,有意な鼻粘膜好酸球の減少を確認できた.H3受容体拮抗薬は鼻アレルギーマウスの鼻症状を増悪させたが,有意差は認めなかった.ヒスタミンH1受容体拮抗薬とヒスタミンH3受容体刺激薬は単剤投与より,併用投与の方が有意に鼻アレルギー症状を抑制した.有意に鼻粘膜の好酸球も減少させた.鼻アレルギーマウスの過敏性変化を経時的にみたが,Penhで経時的に抗原刺激後の反応が増加することが確認でき、これらの反応増加は抗原刺激後のくしゃみ・鼻擦り回数の増加と鼻粘膜好酸球の増加と相関した。(まとめ)マウスにおいて,ヒスタミンH3受容体の存在をmRNAレベル・蛋白レベルで確認できた.また,ヒスタミンH3刺激薬は鼻アレルギーマウスの鼻症状を改善し,ヒスタミンH1拮抗薬と併用することで,単剤投与より作用の増強を確認できた.さらに,Penhを使用して鼻アレルギーの過敏性変化を非侵襲的に評価することができた.