著者
井川 美智子 中山 奈々美 前田 史篤 田淵 昭雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1251-1255, 2006-07-15

要約 目的:縦書きと横書きの文章を読むときの眼球運動の比較。対象と方法:19~23歳の健康人19名を対象とした。読書時の眼球運動は赤外線眼鏡型眼球運動記録装置で記録し,自覚的な読みやすさを聴取した。読書材料として,1辺が3.5mmの明朝体の文字を,A4用紙に1行45文字,15行で縦または横に印刷したものを使った。結果:眼球運動波形は,縦書きと横書きともに視線移動(saccade)と固視からなる階段状波形を示した。視線移動の速度は横書きのほうが速く,固視回数は縦書きのほうが有意に多かった。自覚的には横書きのほうが読みやすいという回答が多かった。結論:縦読みでは固視回数が多くなり,視線移動速度が遅くなることが読みやすさに影響していると解釈される。
著者
"関 和俊 石田 恭生 小野寺 昇 田淵 昭雄"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.113-119, 2007

"高所において生体は,いわゆる急性高山病(Acute Mountain Sickness ; AMS)症状に悩まされることが少なくない.動脈血酸素飽和度(SpO_2)を簡易に測定ができるパルスオキシメータは,酸素不足と高所順応の状態を的確に把握し,ヘモグロビンの透過率を測定できる機器であり,最近の登山には必要不可欠な装備とされている.富士山は,海抜3,776mの日本最高峰であり,低圧低酸素環境下にある.本研究では,心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用い,富士登山における生体変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男女26名(男性15名,女性11名)であった.登山中の心拍数およびSpO_2の測定にはパルスオキシメータを用いた.AMSスコアの事後アンケート調査を実施した.心拍数は五合目登山前(88.8±11.8bpm;beats per minute)と比較して,富士山頂(101.2±19.3bpm)において有意に上昇した(p<0.05).SpO_2は,五合目登山前(91.4±2.0%)と比較して,富士山頂(82.1±6.5%)において有意に低下した(p<0.05).AMSスコアは「頭痛」および「めまい及び/またはふらつき」に関して山頂時に有意に高値を示した(p<0.05).このことから,富士登山においても心拍数やSpO_2は高所順化の指標となることを示唆する結果となった.また,SpO_2の測定は富士登山における高所順応が順調に獲得されているかどうかを知るための適切な指標であることが示唆された.心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用いることによって,富士登山における急性高山病を事前に防ぐことが可能であると考えられた."
著者
関 和俊 石田 恭生 小野寺 昇 田淵 昭雄
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.113-119, 2007

高所において生体は,いわゆる急性高山病(Acute Mountain Sickness ; AMS)症状に悩まされることが少なくない.動脈血酸素飽和度(SpO_2)を簡易に測定ができるパルスオキシメータは,酸素不足と高所順応の状態を的確に把握し,ヘモグロビンの透過率を測定できる機器であり,最近の登山には必要不可欠な装備とされている.富士山は,海抜3,776mの日本最高峰であり,低圧低酸素環境下にある.本研究では,心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用い,富士登山における生体変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男女26名(男性15名,女性11名)であった.登山中の心拍数およびSpO_2の測定にはパルスオキシメータを用いた.AMSスコアの事後アンケート調査を実施した.心拍数は五合目登山前(88.8±11.8bpm;beats per minute)と比較して,富士山頂(101.2±19.3bpm)において有意に上昇した(p<0.05).SpO_2は,五合目登山前(91.4±2.0%)と比較して,富士山頂(82.1±6.5%)において有意に低下した(p<0.05).AMSスコアは「頭痛」および「めまい及び/またはふらつき」に関して山頂時に有意に高値を示した(p<0.05).このことから,富士登山においても心拍数やSpO_2は高所順化の指標となることを示唆する結果となった.また,SpO_2の測定は富士登山における高所順応が順調に獲得されているかどうかを知るための適切な指標であることが示唆された.心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用いることによって,富士登山における急性高山病を事前に防ぐことが可能であると考えられた.
著者
中尾 善隆 橋本 勇希 田淵 昭雄 小野寺 昇
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.107-111, 2007

富士山(海抜3,776 m)は日本一高い山として,登山客が足を運ぶことが多い.しかし,眼圧は気圧により変化することから,登山中の眼圧の変化には注意が必要である.しかし,これまで富士登山と眼圧との関係を報告した例は我々が調べた範囲内ではなかった.今回,我々は富士登山による眼圧の変化を調べるため,実際に登山を行い平地と山頂での眼圧を計測した.対象は正常眼圧で眼科的疾患を伴わない正常成人23名(男性11名,女性12名),平均年齢26歳であった.眼圧測定は接触型眼圧測定機器TONO-PEN^(R) XLを用い,測定者は視能訓練士1名とした.今回,アセタゾラミド服用による眼圧の変化がないことを確認し,高山病予防のため全被検者にアセタゾラミド250 mgを服用させた.登山前の平均眼圧は右眼13.0±2.4mmHg,左眼11.8±2.9mmHg,山頂での平均眼圧は右眼13.1±2.5mmHg,左眼11.8±2.5mmHgであり,これらに有意な差はなかった.この結果は,富士登山による急激な眼圧の変化はないことを示唆した.
著者
田淵 昭雄
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.401-408, 2012

著者が勤務した兵庫県立こども病院(1970年〜1977年)頃の視覚障害者(児)のリハビリテーション・ハビリテーション(眼科リハ)は医療と福祉が個別に機能していた.しかし,川崎医科大学附属病院(1977年〜2004年)時代には,両者が重なる総合的眼科リハが徐々に進み,当大学感覚矯正学科(1992年〜現在)の期間は両者の協働時代になっている.この「視覚障害者(児)の医療福祉」の変遷を著者の経験から述べた.(1)1970年〜1977年における眼科リハ(小児):日本では視覚障害児専門施設が少なかった.しかし,米国でのBlind Childrens Centerでは眼科医,精神科医,視覚障害ケースワーカーなどがチームとなった眼科リハが施行されていた.(注:Blind Childrens Centerは何故かChildren'sではないのが正式名称のようである.)(2)1977年〜2004年における眼科リハ:岡山県下には視覚障害者(児)の訓練施設は無く,川崎医大病院眼科外来にて眼科医や視能訓練士よる視覚障害者の眼科リハを行った.1993年からは眼科ケースワーカーを加えた眼科リハ・クリニックを開始した.2000年に日本ロービジョン(Low Vision:LV)学会が創設されて以来,眼科医,視能訓練士,教育,福祉,行政,内科医や光学・工学関係者などの会員が学際的LV研究を行っている.(なお,LVとは日常生活などで何らかの支援が必要な状況にある視覚障害を意味している.)学会の設立は全国各地でのLVクリニック開設を促した.岡山県(地域)眼科リハについては,2010年の県下の視覚障害者は約2万5千人,眼科医が約250人であるので,眼科医1人で約100人のLV者の対応が必要である.Lケアの診療報酬化が実現されればLVクリニックの普及が進むだろう.一方,ボランティア組織の「岡山県視覚障害を考える会」とか各種患者団体の会が活動している.(3)1992年〜現在までの当学科視能矯正専攻でのLVケア教育と研究:1993年からLV学の教育,学部の卒業研究と大学院の研究でLV関連の研究を行っている.2003年から教育カリキュラムの中にLV学が取り入れられた.研究では科学的に裏付けされた多くの知識と技術が明らかとなった.「視覚障害者(児)の医療と福祉」は科学的な研究と教育によって発展している.