著者
築山 邦規 田坂 佳千 中島 正光 日野 二郎 中浜 力 沖本 二郎 矢木 晋 副島 林造
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.1556-1561, 1989-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11
被引用文献数
8

小柴胡湯による薬剤誘起性肺炎の1例を報告した. 症例は71歳, 女性で, 肺炎の診断で入院した. 発熱, 咳嗽, 呼吸困難と胸部X線上両肺野にびまん性粒状網状影を認めた. 夏型過敏性肺臓炎を疑い経過観察としたが, さらに増悪傾向を示したため, 薬剤誘起性肺炎を疑い, 全投薬を中止すると共にプレドニンを投与したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線は著明に改善した. 経気管支肺生検では間質性肺炎像を呈し, リンパ球刺激試験では小柴胡湯に対し陽性を示した. チャレンジテストで発熱, 低酸素血症, さらに胸部X線上間質性肺炎像の出現を認めたため, 小柴胡湯による薬剤誘起性肺炎と診断した. 当薬剤による薬剤誘起性肺炎の報告は世界で第1例目と思われる.
著者
中島 正光 玉田 貞夫 吉田 耕一郎 杉村 悟 沖本 二郎 二木 芳人 真鍋 俊明 副島 林造
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1109-1114, 1994-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

症例は39歳, 男性. 労作時呼吸困難, 胸部X線上異常陰影にて当科に紹介入院となった. 入院後経気管支肺生検にて肺胞蛋白症と診断し, 現在までに2回の全身麻酔下左肺洗浄を施行し, 軽快退院している. 今回再度肺胞蛋白症の増悪がみられたため入院となった. 血清中のCEAが高値であったため他の腫瘍マーカーの測定を行い, 血清中のCA153, TPAの高値を認めた. さらに肺洗浄液中の腫瘍マーカーの測定を行い, CEA, CA19-9, CA125, CA15-3, CA50, SLX, SCC, TPAが血清正常値以上を示した. 血清中高値の腫瘍マーカー全て肺洗浄後減少傾向を示した. そこで, 高値を示した腫瘍マーカーの産生部位を検索する目的で経気管支肺生検組織の免疫染色を行った. 肺胞上皮にCEA, CA15-3, SLXが陽性を示し, これらはII型肺胞上皮を含む肺胞上皮より産生されていることが示唆された. 本症の肺洗浄液中でCEAが高値を示すことは知られているが, その他の腫瘍マーカーについての検討は少なく興味ある症例と考えられた.
著者
田中 みか子 江[ジリ] 貞一 河野 正司 中島 正光 小澤 英浩
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.806-811, 1996-08-01
参考文献数
69
被引用文献数
4

近年,日本では急速に高齢化社会を迎えつつあり,閉経後骨粗顆症は,歯科臨床領域においても注目されている.特に顎関節部に対する骨粗蛎症の影響を明らかにすることは,骨粗耘症と,顎関節症をはじめとする咀咽機能の低下との間に関連性が考えられることから重要である.そこで本研究では卵巣摘出ラットを用いて,エストロゲン欠乏が下顎関節突起に及ぼす影響を明らかにするため,骨密度測定および軟X線写真の2値化画像解析を行った.画像解析の結果から,エス1・ロゲン欠乏により下顎関節突起の骨形成が抑制されることが明らかとなり,歯科領域においても閉経後骨粗胤症に対する注意が必要であることを提唱している.
著者
澤田 宏二 荒井 良明 河野 正司 大竹 博之 池田 圭介 中島 正光 平野 秀利
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 = The Journal of Japanese Society of Stomatognathic Function (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.59-66, 1996-06-30
被引用文献数
6

顎関節脱臼の治療には, 口腔外科領域での観血的処理が行われることが多く, 咬合治療が行われることはまれである.しかし, 顎関節脱臼症例に対して, 咬合治療を行うことにより治癒をみた報告はこれまでもある.今回, 我々も顎関節脱臼症例に対して, ガイドの位置を変化させる咬合治療により顎関節脱臼の治癒をみた.症例は起床時の右側顎関節習慣性脱臼を有する18歳男性1名である.平成6年頃より, 起床時に右側顎関節脱臼が生じたが, 自力で整復が可能であったので放置した.しかし, 脱臼の発生頻度が高くなり, 平成7年2月には毎朝右側顎関節脱臼が生じるようになり, 当科に来院した.患者は側方滑走運動時に第2大臼歯のみが歯牙接触していた.スタビリゼーションスプリントを上顎歯列に装着したところ, 翌日から起床時の右側顎関節脱臼は消失した.その後, 作業側ガイドと非作業側ガイドのどちらが脱臼の消失に寄与しているのかを追求し, さらに6自由度顎運動測定装置(東京歯材社製TRIMET)により, 3種類の滑走接触における顎運動の解析を行った.その結果, ガイドを歯列の前方歯に修正することによって, 下顎の滑走運動のみならず, 歯牙接触のない下顎運動経路, さらには顆頭の運動量にも変化を認め, 右側顎関節脱臼は消失した.今回の症例より, 顎関節脱臼症例にアンテリアル・ガイダンスの修正が有効な治療法となりうることが示唆された.