- 著者
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中島 美津子
森山 美知子
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護管理学会
- 雑誌
- 日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.2, pp.22-31, 2009 (Released:2018-12-28)
- 参考文献数
- 20
本研究は看護労働環境改善に関する研究の一環として日本の看護労働環境の可視化を試みることで看護職離職問題への示唆を得ることを目的とした.調査対象は5病院の組織全層1193名の看護師とした.米国の看護師をひきつける病院「マグネットホスピタル」の研究で開発された看護労働環境に関する尺度(Nursing Work Index- Revised 以降NWI-R)を使用し,NWIの日本語版として使用した.その際尺度の信頼性と妥当性の検討も実施した.信頼性にはCronbachのα係数を用い,信頼性検討後,構成概念妥当性の検討に職務満足度および蓄積的疲労徴候尺度を用いた.因子分析による下位尺度は日本の看護環境の構成概念を表象化したものである.その結果,全体の信頼性係数α =0.879 であり,下位尺度も0.5以上であった.NWI-Rの下位尺度と職務満足度,蓄積的疲労徴候尺度にも相関が認められ,使用尺度として信頼性と妥当性が得られた.因子分析の結果,日本の看護組織構成概念として①看護管理者のマネジメント能力②専門性を発揮できる看護環境③看護師―医師関係④人員配置⑤キャリア・アップ支援⑥組織内における個人の位置づけの6つが得られた.