著者
阿久津 誠 後藤 一貴 柏木 隆志 今野 渉 中島 逸男 深美 悟 平林 秀樹 春名 眞一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-46, 2019 (Released:2019-09-28)
参考文献数
10

食道異物は摘出が容易な症例や自然排泄が期待できる症例が多いが,時として消化管穿孔や皮下・縦隔気腫などの合併症を引き起こす事がある。今回われわれは過去11年間で経験した,食道異物の症例を若干の文献的考察を加え報告する。症例は全98例,10代と60〜70代の二峰性分布を認めた。種類別ではPTPが最多であった。30例が入院加療を要したが軽快退院していた。一般的な耳鼻咽喉科診察では食道内の異物を見落としてしまう恐れがあり,上部消化管内視鏡検査や頸部CT検査は重要である。また鋭的異物の誤飲を積極的に疑う場合,後に下部消化管穿孔や穿通をきたす恐れがあるため他科との連携を図り,下部消化管精査も検討すべきである。
著者
若山 仁久 池田 拓 中島 逸男 平林 秀樹 春名 眞一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-23, 2011 (Released:2012-02-15)
参考文献数
13

鼻腔異物は小児を中心とし, 日常診療でしばしば遭遇する疾患である。2005年1月から2010年8月までの過去5年8ヵ月間に当科を受診した小児の鼻腔異物症例は281症例であった。今回我々は年齢, 性別, 受診年, 受診月, 異物の形状・性質・大きさ, 合併症の有無などを検討した。症例の平均年齢は3.6歳 (SD±1.5歳) であり, 性差は認めなかった。異物の直径は平均8.6mm (SD±2.3mm) であった。気管異物や鼻中隔穿孔などの重篤な合併症を認める例はなかった。学童期以前の幼児には直径が6~12mmのものは鼻腔異物となる可能性が高く, 注意を要すると考えた。
著者
中島 逸男 谷垣内 由之 吉田 博一 中村 昭彦 馬場 廣太郎
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 = Stomato-pharyngology (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.195-201, 2001-02-28
被引用文献数
1

11歳の男児が耳痛を主訴に近医を受診した.局所治療を受けたが症状が軽快しないめ他院を受診した.そこで舌の腫瘤を発見され, 精査・加療目的に当科を紹介された.病変は右舌縁から口腔底にかけ表面不整な潰瘍を呈し, 周囲の硬結は舌正中を越えていた.生検にて高分化の扁平上皮癌と診断された.画像診断も含めた全身検索の結果, 入院時病期分類はT4N0M0 stage IVと診断された.化学療法 (5-Fiuorouracil, Cisplatin) 2クール施行したところ腫瘍はわずかに反応を示し, 縮小するかと思われた.しかし, その後の放射線外照射中にも腫瘍は増大し両側の扁桃窩まで広がりをみせ, 3回の動注化学療法も効果なく, 初診から10ヵ月後に死亡した.