- 著者
-
吉田 博一
- 出版者
- 日本生気象学会
- 雑誌
- 日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.1, pp.61-67, 2003 (Released:2003-06-06)
- 参考文献数
- 18
花粉症は,アレルギー性鼻炎を好発時期によって通年性と季節性に分類し,季節性のうち花粉を原因とするものであり,季節性アレルギー性鼻炎の大部分を占める.従って,花粉症はアレルギー性鼻炎の代表的疾患であり,I型アレルギー疾患である.鼻の主徴は,くしゃみ,水性鼻汁,鼻閉で,原因花粉飛散期にのみ症状を現す.「国民病」とまで言われるスギ花粉症の有病率は徐々に増加し,近年行われた2つの全国的疫学調査では,都道府県別では有病率に違いが認められたが,全国平均すると15%前後であった.有病率増加に関係する因子としては,スギ花粉飛散量の増加,浮遊粒子状物質のアジュバンド効果,住環境や食生活の西欧化,結核症や寄生虫疾患などの感染症の減少に伴うTh1とTh2のアンバランス(Th2優位)などが挙げられる.