著者
中嶋 一雄
出版者
認知症治療研究会
雑誌
認知症治療研究会会誌 (ISSN:21892806)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.34, 2022 (Released:2023-02-08)
参考文献数
31

夏目漱石は,神経衰弱・胃潰瘍・糖尿病の持病を有し,糖尿病の治療として当時の最新治療 の厳重食(現在の糖質制限食)が行われた.炭水化物を減らし蛋白質・脂肪を増やす食事内容で,こ の治療により糖尿病と神経衰弱の症状は改善し,最終作の「明暗」に治療光景が描写された.しかる に胃潰瘍は改善せず,結局腹腔内出血で死亡した. 3 種の持病の関連と厳重食の治療効果を,現代の医学で考察してみた.①2 型糖尿病患者はピロリ 菌陽性率が高い.②40 代の糖尿病患者にうつ病発症率が高く,一方再発性うつ病患者は胃潰瘍発生 率が高い.③ケトン体形成食が統合失調症等の精神症状の改善を生ずると報告されている.三種の疾 病は相互に関連していたと考えられた.当時の厳重食は神経衰弱・糖尿病に有効だったが,胃潰瘍に は無効であった.ビタミンA や食物繊維の多い食材を多く摂取すれば,胃潰瘍にも効果があった可 能性がある.
著者
大平 重男 吉岡 正行 菅原 孝昌 中嶋 一雄 宍戸 統悦
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.10-14, 2005-03-31

β-Ga_2O_3単結晶を育成し,その表面を窒化処理することでGaNを形成し,窒化物系半導体膜成長用基板とする方法について検討した結果を紹介する.FZ法で育成したβ-Ga_2O_3単結晶を研磨加工し,その(100)面をNH_3ガス中で窒化処理(850℃,5h)することで,β-Ga_2O_3単結晶表面には多結晶の六方晶GaNが,数10nmの厚さ形成されることを確認した.高分解能TEMによる断面観察,電子回折から,β-Ga_2O_3単結晶表面上にはランダムに配向した単結晶のGaN粒子が複数集合し,そのサイズは数nm〜数10nm,膜厚は数10nmであること,また作製されたGaN粒子内部には転位や欠陥は観察されないことがわかった.本手法は新しいバルクGaN基板作製法として期待される.