著者
月村 辰雄 中川 久定 葛西 康徳 川中子 義勝 中川 純男 佐々木 あや乃 多賀 茂 羽田 正 月村 辰雄 松浦 純
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本研究は,古典の受容に関してもっとも重要なファクターであると考えられる古典教育について,現代,世界の各地域でどのように意義づけられ,どのように教えられ,かつそれぞれの文明圏にどのような効果を及ぼしているのかを,内外の研究者を招いて共同討義によって明らかにし,その上でさらに考察を深めようとしたものである。本年度は4名の研究者を講演に招いた。その結果,近代の古典学の源流の一つともいえるベルリン大学における古典教育の具体像,近現代を通じて200年以上も古典研究のエリート層育成に力があったフランスのコンクール・ジェネラルというシステム,が明らかとなった。また,ホメロス以来の光輝ある古典の伝統と現代ギリシア語による一般大衆教育との鋭い対立という問題を抱えるギリシアの実情報告は,古典教育の持つマイナス面に対する意識を新たにさせた。(これは今後の検討課題である。)以上のより詳細な内容は,特定領域研究「古典学の再構築」研究成果報告書第7分冊,B03調整班報告書において発表される。
著者
中川 久定
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.119-355, 1975-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
中川 久定
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.185_a-45_a, 1973-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
中川 久定
出版者
京都大學文學部
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.119-355, 1975-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
多賀 茂 中川 久定 中川 久定 多賀 茂
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

多賀-18世紀においてもフランスでは、いまだ自国の文学を固有の伝統を持つ一つの集合体として見る考え方は一般的ではなかった。いわば「フランス文学史」という観念はいまだ一般的には成立していなかったのであり、古代ギリシア・ローマの古典とそれに対するヨーロッパ近代の古典という図式のほうが支配的であった。ところが、史上初めて「フランス文学史」と名乗った文献は17世紀にまでさかのぼる。エリート的学問層の集団であり、批評術的歴史研究の中心であったベネディクト派修道会によって編纂が開始されたフランス文学史がそれである。ただしここには、文学史をさまざまな美的価値が連続的に現れては消える過程と見なす考え方はない。彼らにとって文学史とは、フランス語で書かれた文書のうち詩・小説・歴史・思想などの領域に属するものすべてが形成する集合体のことであった。中川-18世紀のフランス社会において、ギリシア・ラテンの古典はいったいどのような役割を果たしたであろうか。ディドロ・ダランペール編『百科全書』、パンクーク編『百科全書補遺』の初校目の分析を通して、次のようにこの問題の解明を行った。古代から18世紀にいたるヨーロッパにおいて生み出されたさまざまな著作のうち、「古典的」という修飾語を冠するに足りるものはどれであるかについての合意が成立したのは、18世紀半ばであった。他方、18世紀のフランス社会は、ギリシア・ラテンの古典を同時代的状況に適用する試みを多数生み出すことにも成功していた。たとえば、プラトンの『ソクラテスの弁明』は、ヴォルテール、ルソー、ディドロの3人によって、当時の状況に適応するような形で、独自の仕方で読み直され、解釈された。こうして、18世紀フランス社会は、古典を媒介とすることによって、ヨーロッパ文明の連続性を継承しつつ、しかも同時に自己革新をはかることに成功した特異な世紀であった。