著者
増田 孝裕 中川 伸 小山 司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.141-144, 2010 (Released:2010-09-13)
参考文献数
17

現在,うつ病の治療薬はセロトニンやノルアドレナリンといったモノアミンを増加させる薬剤が中心として用いられているが,脳内の細胞外モノアミン濃度は抗うつ薬の投与数時間後には増加するのに対し,臨床における治療効果発現までには数週間の慢性投与が必要とされることもあり,抗うつ薬の治療発現メカニズムは未だ明らかとされていない.近年,成熟期の脳においても海馬歯状回といった特定領域において,神経幹・前駆細胞が存在し,神経細胞が新生されることが明らかにされている.この海馬における神経新生は,うつ病発症の危険因子とされるストレスによって抑制され,逆に抗うつ薬を慢性投与することによって促進される.さらに,海馬神経新生を阻害すると,行動薬理評価モデルにおける抗うつ薬の作用が消失するなどの報告から,抗うつ薬による治療メカニズムの新しい仮説として海馬の神経新生促進仮説が提唱され,注目を集めている.本稿では,うつ病と海馬神経新生の関わりについて概説するとともに,我々が確立した成体ラット海馬歯状回由来神経幹・前駆細胞(Adult rat Dentate gyrus derived neural Precursor cell: ADP)の紹介を交えて,海馬神経新生をターゲットとした新規抗うつ薬創製のアプローチの可能性について記載する.
著者
中原 功一朗 中川 伸子
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.54-70, 2008-03

本学経済学部においては,習熟度別クラス編成を伴うカリキュラムにより,英語教育を展開している。また,授業時間外学習を確保するために,学生支援室との連携システム,オンライン学習システムを構築している。2007年度春学期に,上記システムの利用者を対象として,授業時間外学習の状況と上記のシステムに関する意識を調査した。本稿においては,1)1年次カリキュラムと上記システムの概略を説明し,2)上記調査の結果を報告し,3)調査結果の解釈,分析,考察を行った。結果としては,上記システムは概ね有効に機能していると言えるが弱点も見えてきたので,今後の課題や改善のための方向性を提案した。
著者
中川 伸 陳 冲 萩原 康輔 平田 圭子 藤井 優子
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.67-75, 2023-02-22 (Released:2023-03-09)
参考文献数
12

うつ病の薬物療法,精神療法などが進歩し一定の効果を示してきている.しかし,無効な患者が多く存在し,日常生活や社会生活の障害を改善するためには未だ不十分であるため,実臨床では補完療法などの開発,改良が重要になってきている.本研究では,心肺運動負荷検査 (Cardiopulmonary Exercise Test, CPX) の客観的な指標により運動量を明確化し,既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化された運動プログラムのうつ病に対する有効性を検討することを目的とした.慢性または反復性うつ病患者8名 (うつ病6名,持続性抑うつ障害2名) を対象に8週間の運動プログラムを行い,その前後に抑うつ症状,不安症状などの臨床評価を実施した.その結果,介入後に抑うつ症状が寛解に近い状態になり,状態不安および社会適応度の改善もみられた.少数の被験者ながら既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化され,それでも効果が見られることから,これらの結果が今後大規模臨床試験において確認されれば,うつ病の補完療法の大きな進歩になると思われる.
著者
中川 伸
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-31, 2017 (Released:2018-10-22)
参考文献数
17

うつ病の病態・治癒過程は発症,急性期症状,反応,寛解,再燃,回復,再発など動的なものであり,神経可塑的な変化が想定しやすい。一方,病的な状態における可塑性とは異なる正常なしなやかさである「レジリエンス」を考慮することは,うつ病の予防,軽症のうつ病の状態を考えるときに有用であると思われる。本稿では生理学的なストレス反応として惹起される視床下部─下垂体─副腎皮質系を中心として,その神経可塑性の動き,破綻,養育環境による変容などを概説する。

1 0 0 0 OA 糖鎖とうつ病

著者
山形 弘隆 中川 伸
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.32, no.189, pp.J133-J136, 2020-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
57

うつ病の病態は未だ不明の点が多く、うつ病の診断基準には客観的な検査所見が含まれていないのが現状である。うつ病の血清・血漿タンパク質のバイオマーカーについては、神経栄養因子やサイトカインなど様々な因子が報告されているが、定量的な解析に留まっており、糖鎖を含めた質的解析に踏み込んだバイオマーカー探索研究はほとんどない。また、うつ病の基礎研究においても同様であり、病態に関与すると考えられるタンパク質はいくつか同定されてきているものの、糖鎖について解析された研究は数少ない。本稿では最近の知見を紹介しながら、うつ病に対する糖鎖研究の可能性について論じたい。
著者
中原 功一朗 中川 伸子
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.54-70, 2008-03

本学経済学部においては,習熟度別クラス編成を伴うカリキュラムにより,英語教育を展開している。また,授業時間外学習を確保するために,学生支援室との連携システム,オンライン学習システムを構築している。2007年度春学期に,上記システムの利用者を対象として,授業時間外学習の状況と上記のシステムに関する意識を調査した。本稿においては,1)1年次カリキュラムと上記システムの概略を説明し,2)上記調査の結果を報告し,3)調査結果の解釈,分析,考察を行った。結果としては,上記システムは概ね有効に機能していると言えるが弱点も見えてきたので,今後の課題や改善のための方向性を提案した。