著者
増田 富士雄 中川 要之助 坂本 隆彦 伊藤 有加 櫻井 皆生 三田村 宗樹
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.115-123, 2008
被引用文献数
4

大阪平野の沖積層(難波累層)中部に特徴的に発達する天満砂州堆積物について,地盤情報データベースによる解析とこれまでに報告されている <SUP>14</SUP>C年代値や火山灰層などのデータから,その分布と層位を明らかにした.それによれば,天満砂州堆積物は,6000年前から5000年前の最高海面期にはすでに堆積しており,約8000年前以降の海進期に形成されたものである.天満砂州堆積物は砂礫からなる"砂嘴堆積物"である.それは,分布が細長いこと,前進堆積体であること,離水していたと考えられること,海面上昇に伴い陸側斜め上方に発達していること,波浪堆積構造が認められることからわかる.また,天満砂州に堆積物を供給した波食台あるいは波食棚と海食崖と考えられる古地形が,上町台地の西縁に認められることも,それを支持している.<BR>天満砂州の発達は8000年前から7000年前のある時期の海面の急上昇というイベントを挟んで,2段階で行われた.最高海面期の天満砂嘴は,天満から長柄を経て淡路に至る地域に,幅100 m以下,長さ7~8 kmで発達していた.天満砂州は,その後の高海面期に沖側に前進する砂浜海岸や砂礫浜海岸へと変化してその幅を増していった.
著者
柴山 元彦 寺戸 真 中川 要之助
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第III部門 : 自然科学 (ISSN:03737411)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.251-262, 1996-02-28 (Released:2009-02-20)

1995年1月17日に起きた兵庫県南部地震によって淡路島にあらわれた野島地震断層は,延長10km以上にもなる地震断層である。この断層を横断する12測線を設定し,放射能探査を行った。その結果断層部分で,高放射能値がいずれの測線でも認められた。また,簡易測定機器でも断層部分で高い値を示すことが分かった。筆者等はこれまで大阪平野下に存在する活断層の可能性を放射能探査法によって明らかにしてきたが,野島地震断層の放射能探査により活断層の発見がこの方法でより確かなものになった。 The Nojima Earthquake Fault, which has been formed by the earthquake of magnitude 7.2 occurred in the southern part of Hyogo prefecture, Japan, on January 17, 1995, extends more than 10km from Ezaki Lighthouse located at the northern end of Awaji Island to Toshima-cho. The fault runs parallel to the northern of the Nojima geological Fault. The former research (SHIBAYAMA・NAKAGAWA 1995 etc.) has been carried out to present the active faults found beneath Osaka Plain by Radioactivity Prospecting Method. This research was carried out to draw the distribution map of radioactive level by radioactivity prospecting method in the area of Nojima Fault. From the present study which 255 points of intensity of radioactivity could be checked, the following two could be shown; 1> there are some high radioactive level zones in this investigating area, 2> One of these zones are in agreement with the Nojima fault as new fault. From these it has become apparent that higher level zones show an active fault.