著者
根本 泰雄 柴山 元彦
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.101-107, 2004-01-15 (Released:2022-06-30)
参考文献数
15

大学や研究所の研究者等が小学校「総合的な学習」・「算数」・「理科」・「生活科」の教材研究用の情報を教諭に提供する際教諭層のうち理数的な背景を持つ教諭がどの程度の割合で所属しているのか知っておくことは重要である. しかしながら,文部科学省や各教育委員会には小学校教諭の個々人がどのような専門的背景を持っているかを示す統計資料は存在していない.そこで,本研究では大阪市立小学校全303 校を対象として理数系を背景に持つ小学校教諭がどの程度の割合で所属しているかを郵送によるアンケート調査法により求めた.その結果,数学(算数)および理科を背景として持つ教諭は全教諭のうちそれぞれ約2.3% ,約5.9%であり,特に理科を科目として考えると,物理,化学,生物,地学を背景として持つ教論はそれぞれ約1.0% ,約0.9% ,約1.0%,約0.6 %であった.各科目ともに少ないが,特に地学の低さが特徴的であることが判明した.小学校における主要8教科を考えると10 数%の教諭がそれぞれ数学,理科を背景として持っていてもおかしくないが,理数系を背景に持つ教諭は合計でも10 %強でしかなかった.以上から,「小学校教諭」の採用においても志願者の素養を考慮することが望まれ,志願者の学問的背景による教科毎のバランスを考える方法を検討することや,教諭の配置にあたって各教諭の専門性も考慮に入れることでより望ましい配置となり得る可能性が示された. また,研究者等が情報を発信する際には,理数的な背景が必ずしも得意でない教論が約9割いる現状を認識して行う必要性のあることが示された.
著者
柴山 元彦 平岡 由次 池田 正
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.9-14, 2005-09-30

兵庫県神戸市などに位置する六甲山地の花崗岩体において自然放射線量率(地表γ線)の測定を行った。測定地点は、六甲山の花崗岩分布地域で124点である。測定結果の平均値は80.3±22.8nGy/h、となり、これらの値は日本の花崗岩の平均値(73±24)と比べると少し高い。Γ線量率の強度分布は岩体の北西部に向かって次第に高くなる傾向がみられた。また、六甲山体中に領家帯と山陽帯の花崗岩の境界線が存在しγ線量率に顕著な差が生じた。領家帯に属する花崗岩の平均γ線量率は54.6nGy/h、山陽帯に属する花崗岩の平均γ線量率は85.1nGy/hとなった。この傾向は大阪府においても同様な傾向が報告されている。
著者
柴山 元彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.718-722, 1996-12-25 (Released:2009-11-12)
被引用文献数
2 2
著者
柴山 元彦 中川 康一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.89-96, 2001-08

1999年9月21日,台湾中部を震源とするマグニチュード7.3(Mw)の強い地震が起きた。この地震によって地表に現われた東籠埔地震断層は南北方向で,長さ80kmにのぼる地震断層である。今回初めて,この断層を横断する7測線について,放射能探査を行った。その結果いずれの測線においても断層部分で高濃度の放射能が検出された。筆者らは,兵庫県南部地震の地震断層である野島断層でも高放射能値を観測してきたが,台湾でもこれが検出された結果となった。The Taiwan Chi-Chi great earthquake, Magnitude 7.3 (Mw) occurred in central Taiwan at 1:47am on September 21st, 1999. As a result of the earthquake, the Cher-Lung-Pu Earthquake Fault that was in north-south direction was exposed on the surface for over 80km in length. The radioactivity survey was carried out along seven observation lines, across the fault. The high radioactivity peaks have been observed over the fault line. Similar phenomenon has been observed by the authors across the Nojima Fault and other earthquake faults in Japan. This type of phenomenon is reported for the first time in the earthquake faults caused by this Taiwan great earthquake.
著者
柴山 元彦 寺戸 真 中川 要之助
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第III部門 : 自然科学 (ISSN:03737411)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.251-262, 1996-02-28 (Released:2009-02-20)

1995年1月17日に起きた兵庫県南部地震によって淡路島にあらわれた野島地震断層は,延長10km以上にもなる地震断層である。この断層を横断する12測線を設定し,放射能探査を行った。その結果断層部分で,高放射能値がいずれの測線でも認められた。また,簡易測定機器でも断層部分で高い値を示すことが分かった。筆者等はこれまで大阪平野下に存在する活断層の可能性を放射能探査法によって明らかにしてきたが,野島地震断層の放射能探査により活断層の発見がこの方法でより確かなものになった。 The Nojima Earthquake Fault, which has been formed by the earthquake of magnitude 7.2 occurred in the southern part of Hyogo prefecture, Japan, on January 17, 1995, extends more than 10km from Ezaki Lighthouse located at the northern end of Awaji Island to Toshima-cho. The fault runs parallel to the northern of the Nojima geological Fault. The former research (SHIBAYAMA・NAKAGAWA 1995 etc.) has been carried out to present the active faults found beneath Osaka Plain by Radioactivity Prospecting Method. This research was carried out to draw the distribution map of radioactive level by radioactivity prospecting method in the area of Nojima Fault. From the present study which 255 points of intensity of radioactivity could be checked, the following two could be shown; 1> there are some high radioactive level zones in this investigating area, 2> One of these zones are in agreement with the Nojima fault as new fault. From these it has become apparent that higher level zones show an active fault.