著者
中川 重康 西村 萬平
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

シミュレーションにより予測誤差30%以下であれば、日射量予測による効果が現れ、数日先の日射量を予測することにより、さらに経済的な運用が可能であることが明らかとなった。一方、舞鶴において、全天日射量、傾斜面日射量、気温、風向および風速を1999年5月から測定した。日射量は太平洋側地域に劣らない量であったが、冬季にはかなり低い値となった。特に平成11年度は舞鶴海洋気象台史上初の積雪量となり、ファン付き日射計も埋もれることとなった。過去の気象庁気象データから舞鶴における天気に基づく全天日射量の推定誤差率を求めた所、6月を除く4月〜10月において10〜15%の範囲に収まるが、それ以外の月では15〜20%の範囲となった。この手法を文字放送から得た天気予報に適用し、日射量予測を実施した。その結果、冬季および春季の"晴れ"という予報以外において、天気予報による日射量予測が70%以上の確率で予測誤差30%以下を達成することが分った。太陽熱/電力給湯システムにおいて、市販集熱器と市販深夜電力給湯器との組み合わせを検討した結果、貯湯タンクを1つにした構成が本研究に適当であることが分かり、これを新たに設計し、校内に設置した。集熱器、貯湯タンク、配管などにセンサーを取り付け温度を計測した結果、天気が安定した場合における集熱特性および放熱損失が明らかとなった。以上のように、システムの稼動状況の記録およびパラメータの決定を行った。日射量予測値に基づいて深夜電力により加熱を行う試験運用を行った。このデータから日射量予測の効果を確認した。また、本システムは本校武道場シャワー室に設置したため、実際の給湯負荷に対する実験に発展させる予定である。
著者
織田 慎一郎 見目 喜重 中川 重康 榊原 建樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. B (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.117, no.8, pp.1146-1151, 1997
被引用文献数
1

So far a single-stage neural network has been proposed to forecast insolation of next day. In the present paper, a multi-stage neural network is developed to reduce forecasting error further. A first-stage neural network forecasts average atmospheric pressure of next day from atmospheric pressure data of previous day. A second-stage neural network forecasts insolation level of next day from the average atmospheric pressure and weather data of previous day. A third-stage neural network forecasts insolation of next day form the insolation level and weather data of previous day. Meteorological data of Omaezaki, Shizuoka at April 1994 are chosen as input data. The insolation values forecasted by the multi-stage and the single-stage neural networks are compared with the measurement ones. The results show that the forecasting error is reduced to 24% (by the multi-stage) from 33% (by the single-stage).
著者
森内 基隆 中川 重康
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
舞鶴工業高等専門学校紀要 (ISSN:02863839)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.35-39, 2005-03-10

太陽電池モジュールは,建物,積雪等による部分陰の影響を受けて,その発電出力が低下することが問題となっている.特に,積雪による部分影の影響は大きく,外部からの電力供給による融雪装置の検討が進められている.一方,筆者らは120W太陽電池モジュールを用いた実験で,一個のセルが陰に覆われた場合,そのセルの温度が日の当たっているセルの温度より高いことを明らかにしている.本研究では,120W太陽電池モジュールにおいて6個のセルが陰で覆われた場合,それらのセルの温度は日の当たっているセルの温度より低くなることが分かった.さらに,陰になるセルの温度が,そのセルの枚数で異なることを解明した.陰で温度の下がるセルであっても,他のセルからの電力供給で温度を上げることができた.モジュールに雪が積もると,セルは雪で陰になるので,その陰のセルの温度を上げて雪を溶かせることが可能であることを示している.従って,本研究は外部からの電力供給を必要としない,新しい融雪手法を提案している.
著者
森内 基隆 中川 重康
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
舞鶴工業高等専門学校紀要 (ISSN:02863839)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.17-24, 2006-03-10

最近,太陽光発電設備の普及に伴い,その設置場所が積雪地域に拡大している.しかし,積雪地域に設置された太陽電池モジュールの積雪が,太陽電池が受け取る太陽エネルギーを減少させる.その結果,太陽光発電システムの発電量が低下する.この問題を抑制する手法の一つが,太陽電池モジュールの積雪を融かすことである.雪が積もった直後は,積雪は太陽電池モジュールの全面を覆っているが,時間が経過するとほとんどの積雪は,自重あるいはわずかの太陽光によって,太陽電池モジュールから滑り落ちる.しかし,太陽電池モジュールの最下部に配置されたセルの位置に積雪の一部が残り,この積雪の一部が部分的な陰を発生させる.この部分的な陰が,太陽電池モジュールの発電電力量を減少させる.我々は,太陽電池モジュールの最下部に配置されたセルの位置に残った積雪に着目し,太陽電池モジュールの発電電力量を使用して,この積雪を融かす手法を提案し,評価する.