著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20
被引用文献数
1

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を、9種の主要な増養殖対象種(ブリ、マダイ、マアジ、カンパチ、シマアジ、ヒラメ、トラフグ、メバル、クロソイ)について、水産用医薬品であるFA100と比較、検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り、麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は、おおむね200~1,000μl/l であった。一方、FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/l であり、2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると、FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く、麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに、2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから、2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。
著者
大河内 裕之 中川 雅弘
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.8-14, 2012 (Released:2012-03-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1

噴火湾周辺では,1988~2004 年に本州沿岸で標識放流されたニシンが春季~秋季に再捕された。この海域で漁獲されたニシンは,1991 年以前には春季~秋季の索餌群が中心であったが,1999 年以降には主体が冬季の産卵群に変化し,主漁場も湾口部周辺から苫小牧以東へ移った。1991 年以前に漁獲された索餌群は,その漁期と漁場が標識魚の再捕結果と一致することから本州系群が主体と考えられた。1992 年以降は本州系群が減少し,1999 年以降は噴火湾周辺海域に固有の地域系群が主に苫小牧以東で増加したと考えられた。
著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を, 9種の主要な増養殖対象種 (ブリ, マダイ, マアジ, カンパチ, シマアジ, ヒラメ, トラフグ, メバル, クロソイ) について, 水産用医薬品であるFA100と比較, 検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り, 麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は, おおむね200~1, 000μl/lであった。一方, FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/lであり, 2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると, FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く, 麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに, 2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから, 2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。
著者
大河内 裕之 中川 雅弘 山田 徹生 藤浪 祐一郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.360-370, 2014 (Released:2014-05-27)
参考文献数
22

本州でのニシン稚魚の最適放流条件を知るため,岩手県宮古湾を実験海域として,採卵時期が 1 ヶ月異なる平均全長 50 mm と 60 mm の稚魚群を 1998-2003 年に放流し,2000-2006 年に産卵回帰した親魚の回収率を推定した。得られた回収率は 0.01-0.87%であり,中期採卵群より前期採卵群で高く,同じ採卵群であれば 60 mm 群より 50 mm 群が高かった。放流全長に関係なく早期に放流した群ほど回収率が高い傾向があった。春季の水温上昇に伴うニシン放流稚魚への捕食圧の増加が,回収率決定の主要因と考えられた。
著者
中川 雅弘
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.25, pp.223-287, 2008 (Released:2011-03-05)
著者
中川雅弘
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.25, pp.223-287, 2008-12
被引用文献数
3

メバル属魚類の多くは、有用な水産資源として沿岸漁業、栽培漁業、養殖の対象種である。我が国において栽培漁業対象種とされるメバル属魚類は、クロソイやメバルをはじめとして6種におよぶ。しかし、どの種類においても親魚養成や種苗生産に関して断片的な報告があるものの、中間育成、標識技術、放流効果調査を含めた一貫した栽培漁業技術としての研究はない。本研究ではメバル属魚類の中で最も多くの種苗が放流されているクロソイを研究対象として、本種の生物学的知見に基づいた栽培漁業技術の構築を図るとともに、残された問題点を検討した。