著者
中木村 和彦 佐伯 仁 佐伯 真理子 白澤 由美子 中野 智子
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-6, 2021-04-26 (Released:2021-05-10)
参考文献数
10

36名を,4,6,12ヶ月の3群に分け,一次救命処置(BLS)講習受講後,傷病者の虚脱発見から心肺蘇生とAEDによるショックまでの時間(BLS時間)と50回連続の胸骨圧迫の質の適切性を調べた。初回講習後,4,6ヶ月群は,それぞれ4,6ヶ月間隔で,スキル保持の評価と簡単な講習を行い,12ヶ月後に全群スキル保持の程度を調べた。 12ヶ月後の胸骨圧迫の質に群間差はなかったが,BLS時間は,12ヶ月群が他の2群よりも有意に長かった。4ヶ月群ではBLS時間に有意な経時変化を認めなかったが,6と12ヶ月群のBLS時間は1年後有意に延長した。 BLSのスキル保持には4ヶ月ごとに講習を受ける必要がある。キーワード:心肺蘇生術,一次救命処置,反復講習,スキル保持,胸骨圧迫
著者
定光 大海 中木村 和彦
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

電気的心室細動と高カリウムによる心停止モデルを用いて、体外循環による蘇生法の有効性を検討した。【方法】実験動物にはネコを用い、電気的心室細動群と高カリウム群の2群に分けて、次のように心停止とした。[電気的心室細動群]大腿静脈より右房まで挿入したワイヤ-と前胸部に刺入した鋼線との間に交流を通じて心室細動とした。[高カリウム群]中心静脈より塩化カリウム1ー3Emqを投与して心停止とした。両群とも心停止中に大腿動静脈に体外循環用の送脱血管を挿入した。[心肺蘇生法]両群とも12分間の心停止後、心マッサ-ジと薬剤投与(ノルアドレナリン、リドカイン、重炭酸ナトリウム)を行い、心マッサ-ジ開始1.5分後より1分間隔で自己心拍が再開するまで電気的除細動を繰り返した。心マッサ-ジ開始後4分以内に自己心拍が再開しない場合には、申請したチュ-ブポンプ及び体外循環回路を用いて、大腿静脈から脱血し、大腿動脈より送血して体外循環を行った。両群とも蘇生後4日間経時的に神経学的スコア-を評価した。【結果】電気的心室細動群では、全例体外循環を必要とせず、心マッサ-ジ開始4分以内に自己心拍が再開した。一方、高カリウム群では約半数が4分以内に蘇生できず、体外循環を行った。体外循環を行ったネコは体外循環開始5ー20分以内に自己心拍が再開した。電気的心室細動群の90%は蘇生後4日間生存し、4日目の神経学的スコア-(0=正常、100=脳死)は大半が20ー40であった。高カリウム群では、体外循環使用と非使用との間で生存率と神経学的所見に有意差はなかった。また、電気的心室細動群の方が高カリウム群よりも生存率、神経学的所見ともに良好であった。【結語】体外循環を用いた蘇生法は、高カリウムによる心停止の心蘇生に対しては有効と思われるが、脳蘇生の効果は明らかでなかった。