著者
中村 みゆき 上甲 実 塚本 修 金森 恒雄 東 克彦 川田 一昭 木邨 弘 亀井 紀男 鎌田 忠彦 筆保 弘徳
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.129-139, 2002-02-28
参考文献数
12
被引用文献数
4

岡山県勝田郡奈義町には標高1240mの那岐山が聳え,台風などが那岐山よりも南側を通過する際に,那岐山の南麓に強い北寄りのおろし風が吹くことがある.「岡山県における局地風研究グループ」は,1999年9月より那岐山山頂での観測を開始し,今日までに「那岐山からのおろし風」を2事例観測した.この2事例と台風が瀬戸内海付近を通過したにもかかわらずおろし風が吹かなかった1事例を比較して,気象条件を詳しく調査した更に,過去において山頂での観測を行っていなかった期間に那岐山よりも南側を通過した台風など,36事例についても調査し,「那岐山からのおろし風」の発生条件をまとめた.その結果,本研究では新たに,那岐山の麓におろし風が吹くためには山頂を越えるある程度の空気の量と上層の安定層の強度にある臨界値が必要だということと,おろし風発生時には風下側山麓の奈義で局所的に気圧が低下することがわかった.
著者
早田 聡宏 東 晃子 中村 みゆき 中西 大介 西田 寿美
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.808-828, 2016-11-01 (Released:2017-05-17)
参考文献数
25

学習障害(LD)は学力習得の困難以外に, 学校および日常生活における自己評価の低下, 自信喪失を生じ, 不登校や社会不適応へつながる可能性も考えられる。本症例では, 小学1年の初診時, 注意欠如・多動性障害の診断とともにLDの存在が疑われた児が, 交通事故による治療中断期間を経て, 思春期の年齢において学校不適応をきたした。そして, 母子密着もあり不登校が約3年間と長期化したことを契機に当園への入院治療を導入した。本児への18カ月間の入院治療の中で, LD診断確定とともに徐々に社会性を獲得し, 自己評価の向上もみられた。さらに, 長期不登校が改善し高校進学へとつながり, その後も順調に社会生活を送れている。入院当初の本児および両親の不安や葛藤を傾聴しながら関係を構築していくことが重要であり, 信頼関係を築けた結果, 治療の方針も定まったと考えられた。通院や通所による支援では治療が限定されるが, スタッフとの信頼関係の下, あすなろ学園の入院プログラムに沿った学習および生活の両面を把握しながらの多職種の連携によって, より効果的な治療および家族支援ができたと考えられた。