著者
山田 顕 多勢 克己 中村 僖良
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.871-875, 1992-12-01
被引用文献数
9

Durninにより理論的に導き出されたベッセル形の無回折ビームは、有限開口の場合でもある程度長い距離にわたり広がらずに伝搬することから音響の分野でも注目され、研究が進められている。本報では、このようなベッセル形と類似の長距離集束超音波ビームを形成する実用的な方法として、放射面に重み付けを施したコニカル形トランスジューサを提案し、その放射音場について理論的に検討した。その結果、重み付けコニカル形は連続波駆動時に有限の開口を持つベッセル形と同等の放射音場特性を示すこと、また、パルス駆動時にはサイドローブが平坦化され、パルス長も短くなるなど、ベッセル形よりも有利な点があることが明らかになった。
著者
中村 僖良 山田 顕 小田川 裕之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、高結合KNbO_3圧電結晶について、ECR酸素ビームとPLD(パルスレーザデポジション)を組み合わせた独自の方法により、高品質な単結晶膜をエピタキシャル成長させることを目指している。本年度の成果概要を以下に示す。1.Nd:YAGレーザ4倍波を用いるPLDにECR酸素ビームを組み合わせた膜成長法を採用して(110)MgOおよびSrTiO_3基板上に膜成長を行い、擬立方晶(001)配向のKNbO_3膜の成長に成功した。2.ECR酸素ビームを導入した場合と単なる酸素ガスを導入した場合について実験を行い、ECR酸素ビームが膜成長に有効であることを明らかにし、酸素圧力、ECRパワー、基板温度などの最適条件を求めた。また、膜の組成比をEDSにより調べた結果、ターゲット組成比K:Nbが1:1よりも2:1の場合の方がK/Nb【approximately equal】1.0の良い膜が得られることがわかった。3.X線ロッキングカーブ測定を行い、半値幅FWHMの膜厚依存性を明らかにした。4.ポールフィギュア測定により、膜がエピ成長していることを検証し、基板との面内方位関係を決定した。5.X線回折用高温アタッチメントを用いてKNbO_3結晶と基板の格子定数の温度による変化を調べるとともに、成長時および冷却する際の相転移点通過時における基板との格子定数の関係で決まる面方位との関係について考察した。6.参考のため、格子定数がほぼ同じBaTiO_3強誘電薄膜を同じ方法で作成・評価して比較検討した。7.膜の導電率を測定し、10^6Ωcmと比較的高いことがわかった。またD-Eヒステリシス曲線を測定し、強誘電性を確認した。8.薄膜の圧電性の評価を行い、超高周波厚み縦振動の電気機械結合係数k_tは約27%であることがわかった。9.相転移点付近でポーリングすることにより2種類の90°ドメインからなる有極性マルチドメインを形成し、その圧電特性などを調べて圧電性がエンハンスされることを明らかにした。