著者
中村 元彦
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.30-36, 2018-03-31 (Released:2019-08-17)
参考文献数
14

会計監査において,ITの利用はすでに一般的となってきている。例えば,CAATを利用した仕訳テストなど,精査的な手法での利用は広く実施されているが,定型的な業務が中心である。見積りの監査へのITの活用は,貸倒・賞与引当金などの見積りの不確実性に関して,客観的な評価方法やデータが利用可能で主観性が少ない場合は実施されているが,繰延税金資産の回収可能性など主観性が強い場面におけるITの適用は,必ずしも深い利用に至っていない。AI(人工知能)などの技術を監査においても取り込むべきであり,特に主観性が強い場面において,監査人の判断に資する情報を提供することは有用である。また,過去データ,外部データ,非財務情報の活用も有用である。さらに,監査のリアルタイム化と監査における付加価値の提供も実現可能と考える。但し,被監査会社から提供される情報の信頼性,被監査会社におけるITの活用状況,データの標準化と守秘義務の問題が課題となっている。
著者
増井 壮太 福本 悠人 中村 元彦
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 = Bulletin of Teacher Education Center for the Future Generation (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
no.6, pp.223-226, 2020-03

一条高等学校の数理科学科では、2年生を対象に課題研究を行っている。その訪問先の研究室一つとして、著者らの研究室も指名を受け、今回は分光光度計を使用した実験を行った。具体的には、様々な色の可視光部分の透過率を測定する実験、日焼け止めクリームの紫外線部分の透過率を測定する実験、ブルーライトカットの製品の可視光部分の透過率を測定する実験などを約1時間かけて行なった。その中で生徒たちは予想から測定、考察まで、活発に議論を行いながら、時に自問自答しながら主体的に実験に取り組んでおり、さらに実験の結果から新たな疑問を持ち、検証しようとする姿勢が見られた。まさに今回の取り組みにおいて、平成30年3月に告示された高等学校の学習指導要領で重視されている「主体的・対話的で深い学び」が実現されていたと考えられる。また、授業の実施後、今回の実験についての感想を述べてもらったところ、「普段見ている物の色についての考え方が変わった」、「もっと様々な色の組成について調べてみたい」という意見が多くみられた。
著者
阪本 司毅 中村 元彦
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.199-207, 2015-03-31

科学的概念の獲得を困難にする要因の1つに誤概念がある。誤概念を修正することは容易ではなく、学習後においても保持されることが知られている。本研究は、誤概念の修正に影響を及ぼす要因として学習者の考える力や自身の思考への態度、理科への関心・意欲・態度などの学習者の性質に関わる要因を取り上げ、これらの要因が誤概念の修正に影響を及ぼすかを調べることを目的とした。大学生を対象に、力学分野の誤概念を取り上げ調査した結果、上述した要因が誤概念の修正に影響を及ぼすことが示唆された。さらに、場合によっては、これらの要因が誤概念の修正を妨げるように働くことも示唆された。
著者
北川 知世理 中村 元彦
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.217-225, 2015-03-31

本研究では、大学生を対象に、理科と数学における文脈依存性の存在とその要因について検討し、次の3点が分かった。第1に、問題を純粋な数学、純粋な理科、または数学を用いた理科の問題のいずれとして捉えるか、という認識の違いが、文章表現上、理科として出題される問題や数学として出題される問題の正答数に影響を与えると分かった。第2に、グラフの提示によって、理科の問題を数学と関連づけられて文脈依存性がなくなることが示唆され、理科の正答率が上がることが認められた。併せて、理科の問題を数学に変換した上で解答する生徒は問題を解き易く感じる傾向のあることが考察された。第3に、数学と理科の両問題を完答した群と非完答の群では、論理的思考力の問題の平均点に有意差が見られ、完答した群は非完答の群に比べて論理的思考力が高いことが認められた。よって、論理的思考力の高い生徒は文脈に依存しにくい傾向がある可能性が考えられた。
著者
中村 元彦 寺田 真敏 千葉 雄司 土居 範久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26, pp.13-18, 2006-03-16
被引用文献数
2

今日,インターネットを利用したオンラインサービスの個人情報を詐取するPhishingの被害が深刻化している.しかし,ブラウザのアドオンツールバーを利用する既存の対策手法は,ブラックリスト基づきPhishingサイトの判断をしているため,ブラックリストに無いPhishingサイトを検出できないという課題がある.そこで本稿では,proxyを利用してHTTPリクエストの内容を解析し,Webサイトの存続期間が短いなどといったPhishingサイトにみられる特徴的な傾向を捉えることにより,Phishingサイトを検出する手法を提案する.そして,プロトタイプシステムを使い,実際にPhishingサイトへアクセスを行なった評価結果から,提案手法の有効性を示す. Phishing is a type of deception designed to steal your personal data and damage by it is reported to have spread over these years. Some preventive measure has been proposed but their effect is not satisfactory. Because most of them cannot detect Phishing sites they does not know as they find Phishing sites based on blacklist. To solve this problem, we propose a method to detect unknown phishing sites by watching HTTP request using proxy to detect the characteristics of the Phishing sites (short continuation period, and so on) to warn the HTTP client how suspicious the target site is. We evaluated effectiveness of the proposed method by using the prototype system we have implemented.