著者
中村 泰彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.427-433, 1991-05-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

普通の大豆とエイジング処理した大豆に対する塩の軟化効果を試験し, 以下の結果を得た.(1) 試験した陰イオンにはいずれにも軟化作用が認められ, その効果は概して陽イオンよりも大きかった.陰イオンの中では, 炭酸水素イオンが群を抜いて軟化作用が強く, つづいて多価カルボン酸, 1価カルボン酸の順であった.(2) 陽イオンでは, アルカリ金属はいずれも軟化作用を示したが, アルカリ土類金属は組織を硬くするように作用した.2価の鉄は普通の大豆に対しては軟化促進的に働くが, エイジング大豆では逆に組織を硬くした.(3) 食塩や第一鉄塩は単独では軟化作用はそれほど強くなかったが, 両者を組み合わせると軟化の強い相乗効果が認められた.(4) 塩溶液浸漬による豆からのCa2+の溶出の程度と煮豆の軟らかさとは比例関係にあったが, 炭酸水素塩や第一鉄塩は特異であった.
著者
中村 泰彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.67-70, 1990-01-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

アンモニアガスを乾燥小麦の殺菌に利用する場合の小麦粒への吸着・脱離, 抗菌効果, 小麦発芽への影響についてモデル実験を行い, 以下の結果を得た.(1) 小麦への吸着は最初の1~2時間で急速に進み, 10時間でほぼ飽科に達した.吸着したアンモニアは大部分が表層部にあり, 胚乳部への浸透は少なかった。(2) アンモニアを吸着した小麦は空気中に放置することにより徐々にアンモニアを脱離した.しかし, 吸着したアンモニアの一部は揮散せず, 粒内に残留した.(3) アンモニアに曝された小麦はかびおよび細菌生菌数が減少したが, 同時に発芽率も低下した, (4) アンモニアの菌増殖抑制作用は, 吸着したアンモニアを揮散させると消失した.小麦粒の発芽活性はその場合でも完全には回復しなかった.
著者
中村 泰彦 畠中 正光
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.392-395, 2009 (Released:2011-04-15)

九州大学病院では平成20年初頭の電子カルテ導入と同時に, フィルムレスに向けた医用画像管理システム(picture archiving and communication system:PACS)導入を行った。その背景, 導入時の注意点, システム運用の工夫について概説する。読影において, 表示条件の変更などのPACS機能を活用し, 電子カルテと共存させることで全ての情報を参照でき, 診療の効率化に大きく貢献している。今後は, 画像を含めた情報の標準化, 地域連携の強化を更に推進する必要があると考えられる。
著者
滝沢 一樹 浴村 正治 中村 泰彦 森脇 紀夫 内村 実 内山 照雄 岡安 大仁 萩原 忠文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-25

59才男主訴は咳臓,喀疾,胞内苦悶感,昭和47年12月末日レ線上異常陰影を発見,生検で扁平上皮癌であった.昭和48年4月19日当科入院,胸レ線上空洞を伴なう異常陰影を認め,肺化膿症の合併を認めた,AB-PC.BLM放射線療法を開始したが入院後72日で死亡,剖検では左肺門部のごく一部に分化した扁平上皮癌を認めほぼ左肺全体を占める化膿性空洞を形成していた.癌自体より,化膿症による変化が主体で,肺癌治療中に合併した肺感染症の治療の重要性を再認識した.
著者
中村 泰彦 山藤 一雄
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.119-125, 1968-03

In vivo ascorbic acid exists in two forms of oxidized dehydroascorbic acid and reduced ascorbic acid. It is reported that ascorbic acid decreases the mortality of mice bearing Ehrlich ascites tumor, but we have no information as to dehydroascorbic acid. We synthesized dehydroascorbic acid by improved method of Kenyon et al. and isolated it as crude crystal. Aqueous solution immediately after dissolution showed no selective absorption in ultraviolet wave length, and it came to have a peak at 295 mμ with the lapse of time. By means of hydrazine method, crude crystal was calculated to be composed of 2% ascorbic acid, 66% dehydroascorbic acid, 1.0% 2, 3-diketogulonic acid and 22% others. Crude crystal solution kept at 30℃ for 70 hours (70-hrs-solution) consisted of 25% dehydroascorbic acid, 58% 2, 3-diketogulonic acid and 17% others. There was similar tendency in paperchromatography. Crude crystal and 70-hrs-solution inhibited the growth of transplantable mouse tumor Sarcoma 180, solid type and the inhibition rates were 45% and 51% respectively with the dose of 150 mg/kg/day for 6 days. With the same dosage, ascorbic acid showed weak antitumor activity. Although crude crystal and 70-hrs-solution went by contraries on the content of dehydroascorbic acid and 2, 3-diketogulonic acid, both inhibited the growth of tumor to similar extent. So we presumed that dehydroascorbic acid and 2, 3-diketogulonic acid had antitumor activities respectively.1. Kenyonらの方法を一部変えてアスコルビン酸よりデヒドロアスコルビン酸を調成し粗結晶として分離した.粗結晶の溶解直後の水溶液は紫外部にほとんど選択的吸収を示さないが,時間がたつにつれて295mμに吸収極大を持つようになり別の物質に変化することを示した.この変化はペーパークロマトグラフィーによつて確かめられた.ヒドラジン法によると粗結晶の組成はデヒドロアスコルビン酸66%, 2,3-ジケトグロン酸10%,アスコルビン酸2%,その他22%であり,70時間放置水溶液はデヒドロアスコルビン酸25%, 2,3-ジケトグロン酸58%,その他17%であつた. 2. 粗結晶およびその70時間放置水溶液は,可移植性マウス腫瘍Sarcoma 180に対して抗腫瘍性を示し,腫瘍の増殖は粗結晶投与群では対照群の55%,70時間放置水溶液投与群では対照群の49%に抑えられた.この抗腫瘍性はデヒドロアスコルビン酸,2,3-ジケトグロン酸によるものと推定した.