- 著者
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片岡 由行
河野 久征
河原 直樹
越智 寛友
西埜 誠
中村 秀樹
- 出版者
- The Japan Society for Analytical Chemistry
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.7.8, pp.363-371, 2020-07-05 (Released:2020-11-07)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
1
蛍光X線分析におけるファンダメンタルパラメータ法(FP法)は,理論的に蛍光X線強度を計算して定量分析に利用する方法である.FP法を搭載した波長分散型蛍光X線分析装置は,1980年代後半に国内X線機器メーカーであるリガクと島津製作所が世界に先駆けて開発し,エネルギー分散型装置への適用を含め機能拡張と改良を重ね,その応用範囲も拡大し一般的に使用されるようになった.FP法の代表的な応用例として標準試料を必要としないスタンダードレス分析があるが,電子材料やめっき分析に使用される薄膜FP法,また,従来の検量線法におけるマトリックス補正係数に,FP法を利用して求めた係数を使用する方法も,各種材料のJISやISOの分析規格として採用されている.また,蛍光X線に加え,散乱線強度を含めたFP法も開発し,ポリマーや生体試料の分析や不定形試料の分析にも応用されており,著者らが開発したFP法は,蛍光X線分析の応用範囲の拡大に大きく貢献することができたと考えている.