著者
中根 和昭 末松 信彦
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

癌組織・鉄(Fe-C鋼)などの鉱物組織・高分子化合物のように、組織構成が全体の性質を決めることはよく見られる。組織の状態判別は、観察者の主観に任せられているのが現実である。判定結果は観察者の技量に大きく左右されるため、客観的な数値に置き換える手段が必要とされている。今回、組織判別に対して位相幾何学的な判定手法を用いたアルゴリズムを提案した。これは「組織構成要素の肥大による位相幾何学的性質の変化」を単純化された画像から読み取る、という原理であるが、組織形成の仕組みが同じような構造物は他にも多くある。それらにこの判定法を適用したが、非常によい結果が得られた。
著者
中根 和昭 Marcio Gameiro 鈴木 貴 松浦 成昭
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.97-108, 2012-09-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
18
被引用文献数
1

病理診断とは,人体から採取された材料について顕微鏡で観察し,病理学の知識や手法を用いて病変の有無や種類について診断することである.日本では病理医の絶対数は症例数に比べ圧倒的に不足しているため,計算機による病理診断支援技術の開発は緊急の課題である.ここでは,位相幾何学的な概念を基にしたアルゴリズムを提案し,生体組織画像から病変部を抽出する手法と,大腸癌の組織に対して適用した結果を紹介する.