著者
松林 宏明 高岸 洋一 本同 宏成 久保 貴資 中田 俊隆
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学講演大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.197-197, 2007

原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、アルコール異性体の構造力測定を行った。そこから、液体構造の相転移のメカニズムを探った。<BR>マイカ/液体アルコール系の固液界面の液体構造は、その温度によって変化する。しかしその転移メカニズムはまだわかっていない。そこで我々はAFMを用いてアルコール異性体の構造力を測定し、アルコール分子の構成要素、炭素鎖(疎水性)と水酸基(親水性)がそれぞれがどのように転移に影響を及ぼすか、考察した。
著者
池田 研介 清水 寧 中田 俊隆 篠原 晋 山田 弘明
出版者
立命館大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

<高速拡散過程の研究:>本年度は力の性質がはっきりしているアルカリハライド(AH)クラスターの高速混晶化過程の研究に一応のメドをつけた。AHクラスターでは表面空孔配列が異なる構造異性体に加え、体積内で空孔をもつ構造異性体(高位の異性体)がクラスターでは比較的低いエネルギーをもって安定に存在する。これらの異性体を巡る遍歴現象が動的に発生する。特に高位の異性体を巡る過程で混晶化が誘発される事が判明した。混入の活性化エネルギーが評価され1eV程度である事が分かった。この値はバルク中の拡散過程の2eVに比べその半分程度である。常温では混入速度が少なくとも$10^{12}$倍程度高速化する事が分かった。我々が関心をもつ、メソタイムスケールダイナミクスの観点からすると活性化エネルギーを与える、遷移状態とそれを乗り越える力学過程の解明が今後の大きな課題である。同時にanion-cation半径が顕著に異なるNaIの様なクラスターでは<動的ガラス状態>が現れる事が判明した。一方、数十個程度の超微小AHクラスターでは平衡状態であるにも拘わらず温度勾配があらわれる事。それが角運動量の保存の為である事も判明した。<カオス的トンネル効果の研究:>単純で且つトンネル効果をモデル化できる系としてHenon系をトンネルイオン化の基礎モデルに据えトンネルイオン化過程をカオスが理想的状態になく混合相空間として回転領域と混在する場合に解明してゆく作業がかなり進行した。重要な結果はトンネル効果に主要な寄与をもたらすLaputa chainに階層構造が存在し、しかも高次のchain構造が混合相空間でのカオス的トンネル効果に本質的役割を果たす事が解明された事である。理想的なカオス的トンネル効果では高次構造は効かず、低次構造のみでトンネルが良く近似できた事と大いに異なる。高次構造の役割は回転領域がカオス領域に占める割合に比べ相対的におおきくなる程重要になってくると考えられる。なお、本研究課題に対し、2005年8月25日-9月1日立命館大学に於いて国際研究集会{bf Complexified Dynamics, Tunnelling and Chaos}を挙行した。