著者
中西 泰夫
出版者
専修大学経済学会
雑誌
専修経済学論集 (ISSN:03864383)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.31-38, 2019-03-15

政府による規制の緩和が,生産性の上昇をもたらすかどうかは,各国の市場において重要なテーマであり,定量的にテストされることが必要とされている。特に生産性の上昇を計測することが,まず重要である。この論文では生産関数を推定して,そこから生産性の上昇率をもとめている。その際に近年重要になっている内生性の取り扱いに,十分な配慮をして,最新の方法を含んだいくつかの手法で計算している。そして,規制の緩和が生産性の上昇にどれだけ貢献しているかを,パネルデータをつかって推定することによりもとめている。内生性の排除について適切な方法で処理しており,より正確な方法であると考えられる。分析の結果は,生産関数は内生性を考慮した方法により,有意なパラメータの推定結果を得た。したがって内生性の処理をされた生産関数の推定には成功している。規制緩和に関しては,規制緩和が生産性の上昇に有意に貢献しているという結果を得ているが,その際の規制緩和に関する推定方法については,まだ検討の余地が残されており,結論はつけられない。
著者
中西 泰夫 山田 節夫
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.79-96, 2010-01-27

この論文の目的は, 特許の質と特許の陳腐化率および特許の価値を調べることにある. 特許の質と陳腐化率および特許の価値を実際のデータから計測して, 特許の質が陳腐化率と特許の価値をどのように規定しているか明らかにする. そして特許の価値をもとめる. また質がどれだけの価値を持つかを計測して明らかにする. この論文では, 特許の陳腐化率と初期の価値のパラメータを推定して得ることにより, 特許の価値を質を考慮して定量的に求めた. そこで特許の質についても定量的に評価額を求めることができ, 社会的にも有用である結果を得た. 推定した結果, すべてのパラメータについて有意な推定結果を得た. 化学産業と医薬品産業に関しては, 陳腐化率が高く, 初期の価値も高い値であった. 特許の質を考慮すると, 化学産業と医薬品産業では, 大きな影響があった. 特に被引用が7以上の特許については, 価値がはなはだしく大きかった.